ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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度当初に年間の業務目標を設定するが、多くの税務署において「風通しの良い職場づくり」、「ワークライフバランスの実現」、「非行の未然防止」などと並んで、「若手職員の育成」を目標に掲げていた。具体的には、(1)署長を始め先輩職員が、それぞれの得意分野(審理、調査・徴収の手法、資料情報の収集方法、等)について若手職員を中心とした署の職員に対して定期的に講義を行う(署長や署の名前を冠して「○○塾」などと称する。)、(2)会議室に集合した若手職員を数名のグループに分け、それぞれ管理者職員の指導の下で調査官(徴収官)役と納税者役に分かれて模擬調査(徴収)を行う、(3)署内で事案発表会を開催し、そのプレゼンを担当者の若手職員が行う、などの取組がなされていたと記憶する。署におけるこのような研修のメリットは、若手職員にとって臨場感のある知識が身に付き、自己の職務への応用の機会が身近に見いだせることにあると考えられる。税大研修で同様の研修を実施することは、局署によって納税環境や重点取組事項が異なるため共通の研修テーマが設定しにくいこと等から困難であり、職場研修の意義は大きいと考えられる。なお、これまで述べてきたことから、筆者は、諸外国の国税組織と比較した国税庁の研修制度の特色(長所とも言えよう。)について、(一部前述と重複するが、)図表2 税務大学校の主な研修の体系図(注)1.    (網掛け)は地方研修所における研修2.「選考」は所属長が推薦した職員,「選抜」は筆記試験(本科はこれに加え面接試験)を経た職員が対象20年42年38年20年10年10年3年5年0年0年【税務職員採用試験採用者】【国税専門官採用試験採用者】専攻科国際科通信研修「審理Ⅱ」通信研修「国際課税Ⅱ」「国際課税Ⅰ」「審理Ⅰ」2年以上研究科経験年数経験年数(全員)(選抜)(選考)(選考)(選抜)(選抜)(選考)(選考)審理(特別)研修(希望)評価特別研修(選考)酒税行政研修(選考)本科専門官基礎研修専科専攻税法研修(全員)(全員)(全員)中等科(全員)普通科通信研修25 ファイナンス 2020 Jan.SPOT

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