ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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・2015年以降、財務省財務総合政策研究所・国際通貨基金(IMF)財政局・アジア開発銀行研究所(ADBI)は、アジアのハイレベルな財政当局者等が一堂に会する「Tokyo Fiscal Forum」において、アジアが向き合う共通の重要課題に関し、政策的・学術的観点から議論を重ねてきた。・第5回目となる本フォーラムでは、G20大阪サミットで承認された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」について、議長国日本からアジア新興国へ広く紹介するとともに、IMF、世界銀行、アジア開発銀行といった国際機関が、質の高いインフラ構築のために行っている支援及び各国のケーススタディについて議論を行った。・併せて、今年のG20では、高齢化及びその政策的影響に焦点を当てた議論が行われたところ、本フォーラムでも、世界で最も高齢化が進み、社会保障制度改革に取り組んできた日本の経験を共有するとともに、まだ若年層の多い新興国にとっても将来的には直面する課題である高齢化への効果的な政策対応について、議論を深めた。財務総合政策研究所はIMF財政局及びADBIとの共催により、「第5回Tokyo Fiscal Forum―G20の成果:アジアにとっての意義―」と題した国際フォーラムを11月20日(水)及び21日(木)に、東京プリンスホテルで開催した。本フォーラムでは、アジア諸国の財政制度や財政の透明性等の改善を支援するIMFの技術協力を土台としながら、アジア各国のハイレベルな政策担当者を東京に招聘し現状や課題を共有するとともに、アジア域外からの有識者とも意見交換できる場を提供することを目的として、2015年以降、アジアが向き合う重要課題についての議論を重ねてきた。第5回目となる今年は、G20日本議長下における、質の高いインフラ投資(QII)及び高齢化が財政政策に与える影響の議論について、非G20国が多いアジアの財政当局へ広く紹介する場と位置付け、2日間にわたり議論を行った。なお、本フォーラムは、財務トラックのG20関連会合としては最後のものであり、19か国からカントリーゲストやパネリストが来日し、在京大使館や国内の研究者等も含め、全体で160名超が参加した。(テーマと全体構成)本フォーラムでは、G20日本議長下で優先的課題であった「質の高いインフラ投資」と「高齢化が財政政策に与える影響」という2本柱をテーマとして取り上げた。これらのトピックは、共催者であるIMFや、その他の国際機関と協力して推進してきたものであり、また、同じく共催者であるADBIが議長を務めたThink 20(G20のシンクタンク版)でも中心的課題として議論されたものである。「質の高いインフラ投資」についてはフォーラム1日目に、4つのセッションにわたって、G20首脳間で承認された原則の紹介、その原則を推進するIMFの支援ツールの解説、各国の取組事例、環境と社会への配慮や災害に対する強靭なインフラの構築が議論された。「高齢化が財政政策に与える影響」については2日目に、2つのセッションにわたって、G20の成果の紹介とともに日本の経験及び各国のケーススタディが共有された。第5回Tokyo Fiscal Forum―G20の成果:アジアにとっての意義―財務総合政策研究所 主任研究官 水尾 佑希/連絡調整係長 野田 芳美/連絡調整係員 髙橋 文加/研究員 瀬領 大輔15 ファイナンス 2020 Jan.SPOT

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