ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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働委員会の理事でした。現在の年金制度では、自営業の方が60歳まで40年間保険料支払うと、月額6万5,000円の公的年金を65歳から受け取れます。夫婦なら月額13万円になります。一方で会社員の方は月額で平均15万4,000円程度を受け取れることになります。奥様が専業主婦であれば、2人で月額22万円程度になる計算です。今回のように大学生のみなさんと話をすると、「保険料を支払っても年金はもらえないから、意図的に未納したい」という人がいます。しかし、公的年金の保険料を一切払わなければ、将来の年金はありませんから自分で用意しなければなりません。しかし、毎月5万円貯蓄するのは結構大変です。仮に実現しても40年間で2,400万円です。公的年金なしでは成り立たないのです。一方で公的年金を受け取る前に亡くなってしまえば、保険料が無駄になるという人もいます。しかし、年金は一種の保険です。長生きすればするほど得をする仕組みになっています。亡くなる直前まで何歳まで生きても給付するのは公的年金がほぼ唯一です。こうした知識をなぜ学校で教えないのか、私も10年前に予算委員会で質問しました。そのときの答弁は、「中学生や高校生に年金の話をしても、余りにも将来の話で誰も関心を持ちません」との内容でした。しかし私は高校生や大学生の段階で公的年金の仕組みの重要性などについて学ぶ機会を持ったほうがいいと考えています。最近話題の経済理論「MMT」について経済理論にも話題が及んだ。参加者 最近、どれだけ国債を発行しても財政破綻はないとの理論が話題になっています。しかし、返済のために紙幣をたくさん印刷すれば物価は上がると思いますし、国債の信用が落ちて価格が暴落すれば大変なことになると思います。どうお考えですか。遠山副大臣 現代貨幣理論(モダン・マネタリー・セオリー=MMT)のことですね。 日本の場合、借金が1,000兆円を超えていて、対GDP比で見ると、先進諸国、OECD諸国の中で最悪ということになっているわけです。その借金はすべて円建てで、保有者の大半が国民や国内投資家、国内企業。だから、景気をよくするためにじゃんじゃんお札を発行して、足りない分を補っても大丈夫だとの話です。しかし、経済学の基本として、通貨を無限に発行すれば、世の中にお金があふれてお金の価値が下がり、インフレが起きます。日本においてもアメリカにおいても、MMTを唱える方はいますが、それを採用して国家の財政運営をしようというのは全く主流ではない、リスクが大き過ぎると思っています。一方で日本の国債はいま買われています。日本が財政健全化を目指して努力をしている姿勢に、世界の信認があるからです。副大臣になる前にも政治家として学生と交流したことはありますが、「どうして政治家になったのか」との質問がほとんどでした。今日はいま政府の中で日々議論しているようなテーマについて学生さんからご意見があり、私自身も非常に勉強になりました。大学生のみなさんが真剣に日本の財政や社会保障を考えていることに感動を覚えました。(遠山副大臣)「車座ふるさとトーク」を終えて ファイナンス 2020 Jan.8遠山副大臣が訪問車座ふるさとトークin新潟を開催特集

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