ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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兆円になっています。これだけ増加したのは、社会保障費が約3倍に膨らんだからです。皆さんご承知のように歳入が不足する分は借金、つまり赤字国債で穴埋めし続けてきましたから、その返済費用は本年度で約24兆円になっています。社会保障費が増えてしまった理由は少子高齢化です。高齢者が増えるほど医療費が増えます。また、医療技術の進歩でがんやエイズの治療や症状の改善ができるようになっていますが、その中には高額な医療費がかかるものも少なくありません。日本は医療制度がしっかりしていますから、高額な医療を受けても本人は自己負担の限度額が決まっていて、残りは健康保険で賄われます。結果、社会保障費が増加してしまうのです。高齢者が増えると、年金給付も増えますから、今後も社会保障費は増加することが予測されます。そこで高齢者の医療費の自己負担を高めたり、頻繁に病院通いをする人には、定額負担をしてもらうなどの意見が出ています。ただ、自己負担を高めることで、本当に治療が必要な人が病院に行かれなくなっては大変だとの意見もあります。まだ結論は出ていませんが、社会保障費の増大が日本の財政を圧迫している中で、何らかの改革が必要ではないかと思います。ご指摘のように歳出を減らさなければいけません。高齢化等を原因としたいわゆる自然増は年間5,000億円程度になります。それは避けられませんから、その分を公共事業や文教・科技、防衛などの分野で無駄を省いていこうとしています。この3年間で一定の成果は出ています。さらに2022年にはいわゆる団塊世代の方々が後期高齢者に移動し始めますから、財政負荷が一時的に上がってしまいます。それに向けてどうすればいいか、この一、二年間で大きな改革をしていかなければいけないと考えています。老後資金と公的年金について年金についても意見があった。参加者 老後には2,000万円の貯蓄が必要であることが話題になりました。それを聞いて私自身もとても驚きましたし、将来に不安を感じました。その背景には年金や税金に関しての知識不足があると思います。国民に正しく認識してもらう必要があると感じます。例えば省庁を横断するような広報活動をしたり、あるいは高校生、短大生、大学生などの段階でそうした教育をより充実させてはどうでしょうか。遠山副大臣 平成16年に日本の年金制度の抜本改革を実施しました。そのとき私は参議院議員で、厚生労7 ファイナンス 2020 Jan.

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