ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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由で軽減税率が適用されているのです。このように世界の消費税の現状を見ると、標準税率と軽減税率の関係が非常に複雑になっています。それと比較すると、日本はわかりやすいということになります。別の参加者からも次のような指摘があった。参加者 日本の軽減税率はわかりやすいとのお話でしたが、実際にアルバイトなどをしていると、テイクアウトと外食を区別しなければいけないなど、負担が生じています。企業や従業員に負担の増加を強いるのはやむを得ないとの認識で導入したのでしょうか。遠山副大臣 混乱や負担が生じることはわかっていましたので、政府は約8万回にわたり説明会を開いてきました。また、電話で相談を受け付ける窓口も設置しましたので、今後もさまざまな相談に応じて、適切なアドバイスができればと考えています。また、レジの交換が必要な場合には、補助金なども用意してできる限りのサポートをしてきました。今後、慣れていくにしたがって、負担感も軽減されると思いますので、いましばらくご理解をいただきたいと思っています。キャッシュレス決済とポイント還元について消費税率の引上げと同時にキャッシュレス決済を利用した場合のキャンペーンがスタートした。それに関する意見もあった。参加者 今回はキャッシュレス決済によるポイント還元も実施されましたが、どう評価されていますか。遠山副大臣 前回消費税率を5%から8%に引き上げた際には、さまざまな問題がありました。特に税率が上がる前の駆け込み需要は経済に大きな影響を及ぼしたのです。税率の引き上げ前は一時的に景気が良くなりましたが、引き上げ後は一気に消費が落ち込んだのです。それによって倒産した会社もあるほどです。今回はその反省も込めて、税率引き上げ前後の需要を平準化することを心がけました。例えば自動車や住宅については、10月以降に購入した方が有利になるような制度を導入しました。結果、今回は前回ほど駆け込み需要は起きていません。企業、特に中小企業を守るための施策について一定の効果が出ています。キャッシュレス決済のキャンペーンを実施したのも同様です。消費税率が上がると、たとえば小売店で買い物をする量を減らすなどが想定されましたから、キャッシュレス決済を利用した場合、5%あるいは2%分のポイントを還元することにしたのです。結果、10月以降のデータを見ると、客足はそれほど減っていないようです。日本の財政の健全化と社会保障費について消費税率引上げの話題は、日本の財政の問題にもつながっていった。参加者 日本の借金の問題には、不安があります。財政健全化の方法には、今回のような増税で歳入をふやすという方法もあると思いますが、一方で社会保障費などの増加を抑制して、歳出を減らす方法もあると思います。その点はいかがですか。遠山副大臣 私が大学生だった平成2年度には歳入・歳出が66.2兆円でした。それが令和元年度には99.4 ファイナンス 2020 Jan.6遠山副大臣が訪問車座ふるさとトークin新潟を開催特集

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