ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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「車座ふるさとトーク」レポート車座ふるさとトークでの冒頭では、遠山副大臣からは日本の財政の現状に関連して次のような説明があった。遠山副大臣 今からちょうど30年前、私も皆さんのように大学生でした。社会保障問題など、日本の財政を考えるとき、約30年前の平成2年当時と比較すると、非常にわかりやすくなります。私は20代でイギリスに留学していましたが、当時のイギリスの付加価値税(消費税)は17.5%。ただ、イギリスでは軽減税率制度が導入されていて、パンとかミルク、卵などの食料品は原則ゼロ%だったのです。現在は税率が20%まで上がっていますが、食品は変わらず原則ゼロ%です。日本では10月から標準税率は10%で食品には8%の軽減税率を適用していますが、なぜヨーロッパでは30年も前から軽減税率が導入されているかを考えると、いまの日本が抱える課題も見えてきます。今日はそんなお話もできればと思っています。消費税率の引き上げに伴う軽減税率の導入についてその後の意見交換でもまず、消費税が話題となった。参加者 租税3原則は公平、中立、簡素ですが、今回導入された軽減税率は簡素でないと感じます。消費者は、何が8%で何が10%なのかよく理解していません。個人的には軽減税率は導入しないほうがわかりやすいと思いますが。遠山副大臣 さきほどお話しましたように、ヨーロッパの例を見ると、例えばフランスでは標準課税が20%で食料品に対する軽減税率は5.5%です。同じ高級食材でもキャビアには20%が適用される一方、フォアグラとトリュフは5.5%です。フォアグラとトリュフはフランスが自国でつくっているから優遇してたくさん売ろうとしているのではないでしょうか。同様にマーガリンは20%でバターは5.5%です。もっとややこしいのはチョコレートです。ミルクチョコレートとホワイトチョコレートは20%でブラックチョコレートは5.5%。これはカカオ等の成分の割合によるものです。一方、イギリスではフィッシュ・アンド・チップスやハンバーガーは20%ですが、スーパーマーケットなどの総菜はゼロ%です。この差は気温より高く温められたかどうか。店頭で毎日、喧嘩が起こりそうですね。もう一つカナダの例を紹介すると、標準税率は5%で軽減税率はゼロ%です。たとえばドーナツを5個買った場合には5%ですが、6個買うとゼロ%になります。「たくさん買うと家に持ち帰るだろう」との理「車座ふるさとトーク」の冒頭であいさつをする遠山副大臣。財政健全化から年金教育、経済理論まで様々な分野について、率直な意見・質問が続いた5 ファイナンス 2020 Jan.

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