2019年12月号 Vol.55 No.9
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各地の話題1はじめに熊本市は九州の中央、熊本県の西北部に位置し、人口約74万人、九州では3番目の政令指定都市です。熊本市では、阿蘇外輪山に降った雨が20年かけて流れてきた地下水により水道水源が100%まかなわれており、豊富な地下水を称えて「水と森の都」とも呼ばれています。平成28年4月に発生した熊本地震は、最大震度7を2回記録するなど、熊本城を始め多くの施設に大きな被害をもたらしました。九州財務局では、合同庁舎を避難所として提供した外、被災者支援、被災地復興に職員一丸となって取り組みました。本欄では、宿舎削減計画により廃止した「合同宿舎東町北住宅」跡地を熊本市に売却し、熊本地震により被災した「熊本市民病院」の早期再建に貢献した事例をご紹介します。2熊本市民病院熊本市民病院は、病床数556床、年間外来患者数164,907人(平成27年度)で、熊本市東部地区において、昭和21年の開院以来、広域拠点病院として市民の命を守ってきました。中でも「総合周産期医療」の分野では、新生児・未熟児の命を守る拠点として、県内外から高度医療が必要な新生児を受け入れておりましたが、地震による機能喪失のため妊婦や新生児の受け入れが困難となり、九州全域の周産期母子医療に多大な影響を与えました。そのため、熊本市は、地震直後から、市民病院の機能を1日でも早く取り戻すため行動を開始しました。3移転再建地の早期決定熊本市内には多くの旧軍財産(熊本城公園は熊本市に無償貸付)が所在し、以前より九州財務局と熊本市の双方の課長クラスにより、市内の未利用地の利活用等についての意見交換を行ってきました。こうした中、熊本市は、市民病院が昭和54年の建設であることから、建替えの検討を開始し、一旦は平成24年12月に市議会で現在地建て替えの了承を得たものの、事業費高騰を理由に平成27年1月に工事を凍結しました。しかしながら、熊本地震により市民病院が被災したため、平成28年5月13日、熊本市から東町北住宅を熊本市民病院の移転候補地として検討したい、との相談があり、財務局では、東町北住宅の一部を「個別活用財産」として、熊本市へ処分等することについて検討を始めました。熊本市役所熊本県庁新市民病院旧市民病院国土地理院地図を基に作成4早期契約に向けて移転予定地には、RC造の建物が10棟建っておりました。建物を国が解体のうえ土地を熊本市に貸付する国有地を活用した 震災復興への貢献九州財務局管財部第一統括国有財産管理官 国有財産管理官河野 文彦熊本 ファイナンス 2019 Dec.75連載各地の話題

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