2019年12月号 Vol.55 No.9
77/84

各地の話題1別子銅山を基盤に、ものづくりのまちとして発展した新居浜市新居浜市は、住友家による元禄4年(1691年)の別子銅山の開坑以来、西洋の最新技術を導入したり、新しい技術を持つ人々を受け入れるなどして、発展してきました。昭和48年(1973年)の銅山閉山の後も、多くの住友グループ企業が市内で事業を展開するほか、卓越した技術を有する地元企業によって支えられており、その強固な産業構造を形成してきた歴史は、日本における産業近代化の縮図ともいえます。平成29年に市制施行80周年を迎えましたが、80年の歴史を支えてきたのは、銅山の発展に伴い、製錬所、水力発電所、鉱山鉄道など、常に新しいものを取り入れ、進化してきた「ものづくりの精神」なのです。2新居浜市総合戦略のもと、別子銅山近代化産業遺産を活用した観光産業による交流人口の拡大へ平成27年12月に策定した「新居浜市総合戦略」が掲げる「住みたい、住み続けたい*1あかがねのまち」の実現に向けた基本目標のひとつとして、「居住地・観光地としての魅力を高め、定住人口・交流人口を拡大します」と定めており、関連施策を様々に実施しています。・別子1号リニューアルプロジェクト日本最初の*2山岳鉱山専用鉄道であった蒸気機関車をモデルとする観光列車「別子1号」のリニューアルにあたっては、協業プロジェクトとして、地場産業であ*1) あかがねのまち…新居浜市が銅(=あかがね)によって栄えたことを象徴している*2) 山岳鉱山専用鉄道…別子銅山で採掘された銅を運搬していた専用鉄道るものづくりの技術を有する約40もの企業が、300回以上にわたる協議を重ね、その技術とアイデアを結集した末、平成31年3月1日に運行を開始しました。さらには、地上波で別子1号の製作過程全般を紹介するとともに、製作に参加した企業を紹介することにより、ものづくりのまち新居浜の象徴として、技術力の高さや産業集積を対外的にアピールすることができました。今後も、観光の目玉としての活躍が期待できます。リニューアルされた別子1号。鉱山観光列車として市内外から人気を集めている。(写真:新居浜市)・旧端は出で場ば水力発電所の一般公開に向けて明治45年に創業を開始し、銅山の発展を支えた旧端出場水力発電所は当時最新鋭の設備であるドイツのシーメンス社製の発電機が保存されており、近代産業遺産として一般公開に向け、耐震補強等の工事を始めています。一般公開後は産業遺産を活かしたまちづくりの観光資源として、新居浜市の魅力の発信が期待できます。・「えひめさんさん物語」での魅力発信東予東部圏域(新居浜市・西条市・四国中央市)振興イベント「えひめさんさん物語」においても、アー「新しい」をチカラにするまち 新居浜新居浜市企画部総括次長兼地方創生推進監兼地方創生推進課長佐薙 博幸新居浜 ファイナンス 2019 Dec.73連載各地の話題

元のページ  ../index.html#77

このブックを見る