2019年12月号 Vol.55 No.9
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白老町4ウポポイとのアクセス向上や相乗効果を図る白老駅北地区観光商業ゾーン整備これまで一般財団法人が運営してきた旧アイヌ民族博物館はバブル最盛期には80万人を超える来場者があったものの、閉館した平成29年度には19万人台まで減少し、運営自体も苦慮しておりました。そうしたなか、白老町に民族共生象徴空間の開設が決定したことは、千載一遇のチャンスであり、ウポポイの集客力を起爆剤とした観光振興、経済波及効果に大きな期待を寄せております。ハード面では苫小牧市西部地区と白老町東部地区を結ぶ国道36号の拡幅(4車線化)や、JR白老駅の改修、白老駅前広場の整備、駅南北の往来の利便性向上を図るための自由通路の整備を国や北海道との連携協力体制のもと進めております。また、白老駅とウポポイを結ぶ導線のエリアを「白老駅北観光商業ゾーン」として位置づけ、行政整備区域には観光インフォメーションセンターを建設し、町内の魅力を情報発信する拠点を整備して町内の回遊性を高める機能を強化するほか、民間活力導入区域には、民間資本による新たな商業集積エリアが構築される予定となっています。白老駅北観光商業ゾーンパース図(写真:白老町)5100万人の受入体制の構築先述のとおり、ウポポイでは年間100万人の来場者を目標としておりますが、来場者の回遊性を高め、滞在時間を延伸することが本町経済の発展に直結すると考えます。多くの観光客を受け入れる体制として、一般社団法人白老観光協会が観光庁の日本版DMOの登録を目指しており、本年8月に候補法人として登録されたところです。平成30年度からはDMOが「稼ぐ力」を身につけ自主自立できる施策として、地方創生推進交付金を活用し、観光消費額の動向調査や、新商品開発、インバウンドに対応した着地型観光プログラムの造成、ガイド人材やアイヌ工芸伝承者の育成など、さまざまな観光ニーズに対応できる取り組みを進めております。また、宿泊需要に対応するため、ポロト湖畔には星野リゾートの資本によるホテルが建設されるほか、民泊の開業が相次ぐなど着々と受入体制が整備されつつあります。6これからのまちづくり白老町のまちづくりは、これまで町民参加の「協働のまちづくり」を進めてきましたが、ウポポイの開設を契機に、白老町は外国人をはじめ多様な人々が往来することが予想されることから、本町に集うすべての人々を主体とした「協働が深化する多文化共生のまちづくり」をテーマに進め、特に多様な主体が互いに尊重しながら生活をする「共生社会」の実現は今後ますます重要であり、本町がその交流の場となるようまちづくりを進めていきたいと考えています。アイヌ文化との共生に期待を込めて!地方創生コンシェルジュ北海道財務局総務部総務課長 山崎正人北海道以外に東北地方北部、サハリン(樺太)千島列島など広範囲に先住していたアイヌ民族。酷寒の地で自然と融合しながら生き抜いてきた卓越した知恵と素晴らしい伝統工芸の数々。北海道いや世界に誇る素晴らしい文化です。当局職員も同じ北海道民としてアイヌ文化を正しく知り、共生していく地域作りを目指したいと思います。年間来場者100万人目標は、多くの国民にアイヌ文化の素晴らしさを知ってもらうためでもあります。全国の皆さま是非とも足をお運びください。72 ファイナンス 2019 Dec.連載各地の話題

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