2019年12月号 Vol.55 No.9
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各地の話題アイヌ文化復興に向けた民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)開設を見据えたまちづくり白老町 アイヌ総合政策課長三宮 賢豊1白老町の概要白老町は北海道の南西部に位置し、西は豊富な湯量を誇る登別温泉で有名な登別市、東は国際拠点港湾を擁し北海道の産業拠点である苫小牧市に接しており、南は太平洋を臨み、北は支笏洞爺国立公園を形成する山々に囲まれ、行政面積の約75%を森林が占めている自然豊かなまちです。面積は425.64km2、人口は16,691人(令和元年8月末現在)となっています。令和2年4月24日にはアイヌ文化復興のナショナルセンターとして、民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)が一般公開されます。2民族共生象徴空間の整備平成19年9月、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が国連総会で採択され、翌20年には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が衆参両院で採択されました。21年には「民族共生の象徴となる空間」が主要なアイヌ政策として位置づけられ、総合的なアイヌ政策を推進するため、内閣官房長官を座長に「アイヌ政策推進会議」が設置されました。「民族共生象徴空間」基本構想では、アイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターとして、「展示・調査研究機能」、「文化伝承・人材育成機能」、「体験交流機能」、「情報発信機能」、「公園機能」、「精神文化尊重機能」の6つの機能を持たせることとされ、26年6月には、中核となる国立アイヌ民族博物館及び国立民族共生公園が白老町のポロト湖畔に整備されることと、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に併せての一般公開が閣議決定されました。象徴空間イメージパース(写真:文化庁提供)3ウポポイ開設に向けた機運醸成の取り組みウポポイは、年間100万人の来場者数を目標とされていることから、白老町では大々的なカウントダウンイベントの開催、役場・地元企業等の職員がアイヌ刺繍入りのネックストラップやPRポロシャツの着用など、地元の機運醸成を図る取り組みや、国内外に向けたPRのため、北海道と連携したプロモーション活動などを展開しています。白老町ポロシャツの着用によるPR (写真:白老町)開設500日前カウントダウンイベント(写真:白老町) ファイナンス 2019 Dec.71連載各地の話題

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