2019年12月号 Vol.55 No.9
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第二十四回 令和4年度の予算編成ができない(3)ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?シリーズでご紹介している新潟県の財政危機。前月号では、高齢化による社会保障関係費の増が地方の財政運営にもたらしている影響と、「なぜ対応が遅れたのか」について書きました。今回は、行財政改革の主な方策と、それを策定するにあたっての有識者会議等の議論の一端をご紹介して、このシリーズの一区切りとします。収支改革の目標額が2つ計画期間は令和元年度から令和5年度までの5年間としています。収支改革目標は、(1)収支の均衡を図るため、640億円(年度平均160億円)の収支改革、(2)中越大震災レベルの大災害に当面対応(令和5年度末の財源対策的基金残高230億円)するため、435億円(年度平均110億円)の収支改革(この場合依然として収支不均衡のため、令和4年度目途に計画見直し)、の二つを掲げています。これは、本来(1)収支均衡のみの目標とすべきですが、地方財政対策の動向等に大きく左右されることから、(1)を目指しつつ、少なくとも(2)を達成できるように取り組むとしたところです。主な取組を挙げると、歳出面では、(1)すべての事務事業をゼロベースで見直し、各種事業(一般財源ベース)は、令和2年度に令和元年度比10%削減を基本としています(詳細は行動計画をご覧下さい)。(2)また、過去に行った借金の返済が今後の財政運営の重荷になることが判明していることを踏まえ、公債費負担適正化計画を令和元年度中に前倒して策定し、実質公債費比率の目標値と県債発行ルールを設けることとしています。(3)また、毎年度170億円程度という巨額の資金を一般会計から繰り出している県立病院事業については、経常損益の黒字化及び一般会計繰出金の縮減を目指し、県立病院の役割・あり方や機能・規模を整理し、人件費や経費を見直すなど、患者数等に見合った経営となるよう経営改革に取り組むこととしています。(4)人件費については、定員・給与制度の適正化を進めることとしています。また、給与の臨時削減について、知事は給料・期末手当20%削減、副知事等特別職は15%削減、部長級は給料・期末勤勉手当・管理職手当10%削減、課長級(所属長)は給料・期末勤勉手当・管理職手当5%削減を今年11月から実施しています(令和5年度末まで)。その他職員については職員団体と交渉中です。議員についても議会の判断として臨時削減を実施しています。歳入面では、(1)産業振興等による税源涵養、収入率の向上や、税制を検討することとしています。核燃料税について、32億円の税収が平年度ベースで47億円となる内容の条例改正を行い、令和元年11月から施行しています。(2)使用料・手数料について、特に徴収していない施設の有料化や減免制度の見直しを重点的に検討することとしています。この12月議会に見直しを提案しています。(3)その他、未利用財産の売却と有効活用を図るとともに、広告収入や、ふるさと納税や企業版ふるさと納税等による一層の歳入確保に努めることとしています。また、一般財源の負担は減らしつつ事業量を維持するためにも、国庫補助金等を今まで以上に積極的に活用することをうたっています。加えて、行政改革として、組織体制の見直し、57法人に計約420億円出資している県出資法人の見直し、業務力の向上を掲げています。なお、議会やマスコミへの説明等のほか、例えば8ページのダイジェスト解説(例:資料1)を作成し、広報の取組をしています。県民への説明会の開催も予定しています。新潟県総務管理部長(元財務省広報室長)佐久間 寛道56 ファイナンス 2019 Dec.連載ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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