2019年12月号 Vol.55 No.9
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観光だけではなく、産業でも文化でも同じで、75点から80点くらいの合格点のものをどうやって結び付けていくかという話です。リソースが持つ価値を最大化できてないことが地域の最大の課題なのです。価値が最大化されていないものを結び付けて新しい価値を生み出す、見せ方を変えていく、これが地方創生なのです。ゼロから1をつくり出すことではなくて、1+1を3とか5にしていくことが地方創生なのではないかと思います。では、それを阻んでいるものは何か、一つには物理的なものがあります、例えば、四国が本州と陸続きになっていないとか、四国と本州を結ぶ橋が3本しかないとかいうことです。しかし、それ以上に私が問題だと感じるのは、本質ではないところの見えない壁です。疎外感です。同じ県内でもお互いに無関心な自治体、意味のない自治体の行政区分、青年会議所と商工会議所が一か月遅れで同じ場所で同じようなイベントをやって自慢し合っているおかしな縦割りの制度、こういったものがリソ-スの価値の最大化を阻んでいるのです。そのためにはイノベーションが必要です。しかし、イノベーションはゼロから1をつくり出すことではないのです。本来結び付き得ないものを結び付ける、例えば、トリドールとダスキンの組み合わせ、我々とダスキンの組み合わせです。このような組み合わせがイノベーションなのです。自治体の壁や組織の壁を破り、これまで結び付いていなかったものを繋げるのはテクニックではありません。そこを踏み越えていく勇気が必要なのです。こうした勇気が新しいイノベーションを生み出すのです。ご清聴ありがとうございました。講師略歴坂口 裕昭(さかぐち ひろあき)株式会社IBLJ代表取締役社長/四国アイランドリーグplus理事長東京大学法学部卒業後、2004年に弁護士登録、主に企業法務や企業再生などを担当。2011年、弁護士として相談に乗っていた四国アイランドリーグ(IL)徳島インディゴソックスから手腕を買われ、球団代表に就任し、経営破綻寸前だったチームの立て直しに尽力。2018年、四国IL・plus理事長、2019年2月、国立大学法人徳島大学の客員教授(研究支援・産官学連携センター)、同年3月、四国IL・plusを運営する株式会社IBLJ代表取締役社長に就任。地域をベースに新しい価値を創造することが重要だとして、地方創生や地域活性化に関する講演会・セミナー等での招聘実績も多数。 ファイナンス 2019 Dec.55上級管理セミナー連載セミナー

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