2019年12月号 Vol.55 No.9
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財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute1.はじめにご紹介いただきました坂口です。本日はよろしくお願いします。私は、四国とは何の縁もない人間です。東京生まれ、神奈川育ちで、職業は弁護士、企業法務に特化して事業再生やM&Aに関わってきました。四国アイランドリーグが生まれた7年目のシーズン、2011年に私は、徳島インディゴソックスの球団社長として、アイランドリーグに関わるようになりました。当時の徳島インディゴソックスは、経営的にも非常に脆弱で危ない状況で、立て直しに5年間かけました。そこからアイランドリーグ運営事務局に入って4年、アイランドリーグ全体の立て直しに取り組んできました。この9年間、泥だらけになって地べたを這いずり回ってきました。しかし、自分の中では何一つやり遂げたとは思っていません。「地域の課題」と一言で言いますが、この9年間で、その課題の根深さはもっと深いところにあることを感じています。また、よく「スポーツを核に地方創生を」と言われますが、実際その現場でかじ取りをしていると、そんなに簡単なものではないもどかしさと言うか、机上の空論では理解できないような場面に毎日出くわします。本日は、私のこれまでの取組みをご紹介することを通じて、日本の将来を皆さんと共に考えていけたらと思っています。2. 四国アイランドリーグplusについて(1)アイランドリーグ概要日本の野球を支える裾野がだんだん狭くなってきており、そこで必要とされてできたのが独立リーグです。プロかアマチュアかの区分ではプロの側に入っています。もっと正確に言うと、アマチュアからはプロと言われ、プロからはアマチュアと言われる、苦しい立ち位置の存在です。アイランドリーグは、かつては九州に進出したことがあります。三重が入っていた時期もあります。関西の独立リーグと交流戦をやっていたこともあります。ただ、やはり地域性やブランディングであるとか、さらにもっと現実的な問題で言うなら、その移動距離、移動経費の問題があり、最終的には発足当時の四国の4球団が残っています。アイランドリーグは今年で創立15年目です。設立当初から、赤字はいくらで、いつ潰れるのかなどとマスコミに散々叩かれてきましたが、それでも15年間続いて今に至っています。続けることができている、というのが一つのポイントかなと私は思います。アイランドリーグは日本で初めてのプロ野球の独立リーグです。独立というのは、プロ野球の中でもセ・パ両リーグを擁する日本野球機構(以下、NPB)から独立していることから独立リーグだとよく言われます。しかし、私は、そうではないと言っています。「独立」というのは、既存の価値にとらわれない新しい価値を生み出せるから「独立」という意味なのです。令和元年9月24日(火)開催上級管理 セミナー坂口 裕昭 氏(株式会社IBLJ代表取締役社長/ 四国アイランドリーグplus理事長)地方創生のリアル ~覚悟はあるのか~演題講師48 ファイナンス 2019 Dec.連載セミナー

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