2019年12月号 Vol.55 No.9
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コラム 経済トレンド66大臣官房総合政策課 調査員 村田 亮/尼崎 謙転職と日本型雇用本稿では、近年における転職者の動向及び企業等が抱える課題について考察した。雇用環境について・近年、日本経済が回復基調で推移する中、失業率が低水準に推移し、有効求人倍率が非常に高い水準で推移する等、雇用情勢は着実に改善している(図表1)。・また人手不足の深まりに伴う労働者の待遇改善等もあり、転職者数も増加している(図表2、3)。図表1 有効求人倍率と完全失業率有効求人倍率完全失業率(右軸)1.85.0(%)(%)1.50.42.02.53.03.54.04.50.60.81.01.21.41.62019201820172016201520142013201216114927125103816114927図表2 雇用人員判断DI(全規模)全産業製造業非製造業50(「過剰」-「不足」、%pt)▲50182000(年)▲40▲30▲20▲100102030400204060810121416図表3 転職者数と転職比率3405.02012(万人)(%)転職者数転職比率(右軸)(注1)転職者とは、就業者のうち前職のある者で   過去1年間に離職を経験した者。(注2)「転職者比率(%)」=転職者数÷就業者数×1004.34.44.54.64.74.84.9200220240260280300320181716151413(年)転職者数の推移・転職者数の推移をみると、年齢別では、55歳以上は一部定年後の再雇用が含まれていることに留意する必要があるが、45~54歳の中高年者の伸び幅は特に高くなっている(図表4)。転職活動の動きは中高年者にも広がっていることが窺える。・雇用形態間の移動では、非正規から非正規の割合が一番高いことには変わりないが、近年の特徴としては、正規から正規への転職者数が増えている(図表5)。・前職を離職した理由をみると、雇用情勢の改善を受け、より良い労働条件を求めての転職が増えており、前向きな理由による転職者が増加している(図表6)。図表4 年齢別転職者数▲2050(2012年対比、万人)65歳以上55~6445~5435~4425~3415~24総数▲10010203040(年)1716151413201218図表5 雇用形態間の移動 (過去1年間の離職)非正規から正規正規から正規非正規から非正規正規から非正規20406080100120171615141320120140(15~54歳、万人)18(年)図表6 前職を退職した理由 (過去3年間の離職)その他家事・通学・健康上の理由結婚・出産・介護・育児などより良い条件の仕事を探す定年又は雇用契約の満了会社倒産・人員整理など204060800100(15~64歳、%)20182012(年)46 ファイナンス 2019 Dec.連載経済 トレンド

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