2019年12月号 Vol.55 No.9
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品目に指定し、5年以内に「脱・日本依存」を目指す「素材・部品・装備競争力強化対策」を発表し、半導体製造に必須のフッ化水素などの国産化を進めているものの、完全な国産化とそれを担う中小企業の育成には時間がかかると言われている。また、文在寅大統領は、財閥中心の経済構造を転換するため、「輸出中心の大企業主導の経済」から「所得増や雇用増を通じた人中心の経済」へのパラダイム転換を掲げて経済政策運営を行っている。具体的には、公共部門における雇用創出や最低賃金の引上げ、非正規職の正規職転換などを推進しているものの、急激な最低賃金の引上げにより、特に若年層の就業者が減少するなどの副作用も生じている【図7】。また、財閥への経済力集中の防止を図るとしているが、財閥改革の推進により大企業の力を削ぐことになれば、韓国の経済成長を阻害しかねない恐れもある。韓国の経済構造の動向について、今後も注意が必要である。(注)文中、意見に係る部分は全て筆者の私見である。【図6】半導体販売額の推移0500450400350300250200150100501471020121471020131471020141471020151471020161471020171471020181472019(億ドル/月) (注)3ヶ月移動平均の推移。    中国は2015年3月より項目が独立(当該年月以前はその他に内包)(出所)世界半導体市場統計(WSTS)、米国半導体工業会(SIA)日本アメリカ欧州中国その他【図7】最低賃金の推移01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,00010,0001816141210864202008200920102011201220132014201520162017201820192020(ウォン)(%) (注)1円=10.86ウォン(11月22日時点)(出所)雇用労働部、最低賃金委員会最低賃金賃上げ率(右軸)8,5908,350 ファイナンス 2019 Dec.45コラム 海外経済の潮流 125連載海外経済の 潮流

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