2019年12月号 Vol.55 No.9
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受けやすい【図5】。しかし2019年以降、世界的なスマートフォン販売台数の鈍化やデータセンター向け設備投資の一巡から半導体市況が悪化しているほか【図6】、最大の輸出先である中国が半導体の国産化を進めており、今後、中国向け輸出が減少する可能性がある。さらに、中国の半導体供給能力が拡大すれば、世界的に韓国製半導体需要が鈍化する可能性もあり、韓国経済にとって懸念材料となっている。韓国国内においても、韓国の半導体製造はサムスン電子等の財閥企業が大きな割合を占めており、これら企業の業績悪化が韓国経済へマイナスの影響を与えている。韓国における財閥は、輸出主導型の経済政策を採るにあたり、政策遂行の効率を高めるため優遇された結果、誕生したものであり、現在では、一部の財閥企業の業績が韓国経済の成長を左右するまでになっている。中でも、韓国財閥トップのサムスン電子の売上は、韓国GDPの10%を超えており、その影響は大きい。しかし、2019年7-9月期のサムスン電子の連結決算では、主力の半導体事業の不振により、営業利益が前年同期比で56%減少するなど、厳しいものとなっている。さらに、2019年7月に公表された日本の半導体素材の輸出管理見直しによっても、韓国の半導体製造に影響が及んでいる。これは、韓国が輸出産業の発展段階において、中間財、資本財の供給を海外に依存した組立加工中心の工業化政策を採り、部品メーカー等の裾野産業や中小企業の育成を怠ったことによる。韓国政府は2019年8月、日本に依存する100品目を戦略【図4】韓国の対中輸出の推移12357911108641‒212357911108641‒2108641‒220152016201720182019403020100-10-20-30(前年同月比%)(出所)韓国税関【図2】日韓GDPの需要項目別構成(2018年)韓国日本在庫投資0.9%在庫投資0.2%輸出42.8%総固定資本形成30.4%政府消費15.9%民間消費48.3%輸入▲38.2%輸出17.5%総固定資本形成23.8%政府消費20.0%民間消費56.1%輸入▲17.8% (注)四捨五入により、合計が100%にはならない。(出所)韓国銀行、内閣府【図5】品目別輸出(2018年)半導体20.9%石油製品7.0%その他41.5%自動車6.8%平板ディスプレイ・センサー 4.1%自動車部品3.8%合成樹脂3.8%コンピューター1.8%無線通信機2.8%鉄鋼板3.3%船舶海洋構造物・部品3.5%(出所)韓国貿易協会【図3】韓国の国別輸出額(2018年)その他43.2%日本5.0%EU9.5%米国12.0%中国26.8%東南アジア3.4%総計:6,049億ドル(出所)韓国税関44 ファイナンス 2019 Dec.連載海外経済の 潮流

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