2019年12月号 Vol.55 No.9
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コラム 海外経済の潮流125大臣官房総合政策課 渉外政策調整係長 田邊 宏典韓国の経済構造について日本と韓国の間では、フッ化水素などの半導体素材の輸出管理見直しや、それに反発した韓国国内での日本製品不買運動などが起こり、日韓関係は悪化している。そのような中、韓国のGDPは2019年第1四半期にマイナス成長に転じるなど、厳しい状況が続いている【図1】。そこで今回は、韓国経済が減速している原因について、経済構造面に着目して概観する。まず、韓国GDPの需要項目別内訳を見ると、2018年の輸出依存度は42.8%と、日本と比較しても非常に高いことが分かる【図2】。これは、戦後、国土が狭く資源にも恵まれていない中で、輸出主導型の経済成長が重視されてきたことによるものである。時代とともに、軽工業→重工業→ハイテク産業へと産業の高度化が進んだものの、輸出主体の経済構造は現在も続いており、韓国経済は輸出の動向に大きく左右されやすい構造となっている。現在、特に韓国経済にとって重しとなっているのが、中国経済の減速と、世界的な半導体需要の減退である。先ほど述べたように、韓国は輸出依存度の高い国であるが、輸出の中でも、中国向けの割合が約4分の1を占めるなど、中国への依存度が高い【図3】。しかし、中国経済は内需停滞や米中貿易摩擦の影響を受けた景気減速により輸入額が減少しており、韓国の中国向け輸出も、そのあおりを受けて大きく減少している。【図4】。一方、韓国の輸出品目のうち、半導体が全体の約2割を占めており、韓国経済は半導体産業が中心の産業構造といえ、半導体需給や半導体価格の動向の影響を【図1】韓国GDP成長率の推移▲3.06.05.04.03.02.01.00.0▲1.0▲2.0(%) (注)統計上の不一致や計算上の四捨五入により、実質GDP成長率と寄与度の合計が一致しない場合がある。(出所)韓国銀行、IMF「World Economic Outlook」(2019年10月)2.43.23.22.82.93.22.72.02.20.70.70.40.60.71.10.90.90.90.70.40.60.90.21.50.70.41.00.50.80.90.51.5-0.11.00.60.50.9-0.41.00.4ⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅢⅡⅠ20192018201720162015201420132012201918171615141312暦年(前年比)四半期(前期比)IMF見通し(2019.10)総固定資本形成在庫投資民間消費純輸出政府消費実質GDP ファイナンス 2019 Dec.43連載海外経済の 潮流

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