2019年12月号 Vol.55 No.9
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0初めに徳島県が全国シェア1位を誇る柑橘「すだち」。欧州でのすだち需要が高まっていることを聞きつけた筆者は、輸出量を倍増しようと画策したが、結果的にそうはならなかった。しかし、もう一つの目的である「農福連携(農業と福祉の連携、障がい者雇用)」には一定の道筋をつけた。本稿は、農産品輸出の現場に文字通り「手を突っ込んでみた」記録と、その後のリベンジを目論む、現場からのリアルな報告である*1。【目次】1.すだちブームに乗れ!in 欧州2.欧州輸出の高い壁-2つのハードル3.人手が足らん!4. 「農福連携」のモデルケースへ-支援学校の実習を組み込む5.前年の2倍のすだちを確保!→まさかの結果6. 来年に向けたリベンジ計画-政策の相乗効果を目指して7.最後に-もう一つの究極の目標1すだちブームに乗れ!in 欧州(1)すだちって何?読者諸氏はそもそもすだちをご存知だろうか?ゆずやかぼすは聞いたことがあるが、すだちはよく知らない、という方もおられるかもしれない。*1) なお、本稿のうち、将来の見通しや目標等にかかる部分はあくまでも筆者の個人的な見解や希望であり、筆者が属する組織の公式見解ではない。*2) 「♪さわやかさ すだちの香り さわやかさ 鳴門の潮よ」との歌い出しで始まる。冒頭からすだち推しである。すだちとは、これである(写真1。なお、筆者が11月下旬に徳島市内のスーパーで買った際、一袋(18個)150円であった。)。ゆずより一回り小さい柑橘で(直径約4センチ。ゴルフボールくらいの大きさ)、半分か四分の一に切って絞ると大変さわやかな香りが楽しめる。収穫時期は8~9月が最盛期で、国内収穫量の実に98.5%がわが徳島県産であり(平成28年)、県の花、徳島県民の歌*2、県のマスコット(すだちくん)にも採用されている(写真2。ちなみに、すだちくんは1993年(平成5年)の東四国国体から登場しており、最近のポッと出のゆるキャラとはキャリアが違うことを付言しておきたい。県民の人気も圧倒的である。)。主に焼き魚やお酒に使うことが多いが、「何でもかける、味噌汁にも入れる」という県民の声も聞かれる。なお、サイダーやコーラに絞って皮ごと入れるのが筆者のお薦めである(写真3)。徳島産すだち輸出倍増計画 てんまつ記~地方創生の「ガチな」現場から~徳島県庁 経営戦略部長 久山 淳爾(写真1)すだち(写真3)すだちサイダー(写真2)すだちくん36 ファイナンス 2019 Dec.SPOT

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