2019年12月号 Vol.55 No.9
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いうふうに思います。住宅については、今までの平均寿命からすると、買っても借りても、コストはそんなに変わらないから、生き方次第で考えたらいいと思いましたが、この先100歳まで生きるようになったら、買った方が得なのかなと思います。買う場合、そこから動けないから柔軟性に欠けるというデメリットをどう見るのかというところじゃないかなと思います。質疑応答○参加者A私はメーカーでエンジニアをしています。社会保障費が30年前は予算全体の11.6%で今は34%とのことですが、テクノロジーの観点で、社会保障費を削減できないかと思いました。社会保障費のうち、介護や育児などどの分野を下げることができそうか。○中西室長まず、育児は、人間と人間とのやり取りが多いので、テクノロジーを利用するにはあまり向かないかなと個人的には思います。医療費・介護費については、ITやテクノロジーを使い、効率的に安いコストで、定期健診などの予防医療ができれば、お金もかからず、健康も維持できるのではないかと思います。病気になってからだと多くの治療費がかかってしまいます。また、AIをうまく利用して医師の負担を減らせれば、より必要な医療分野に医師が注力できるのではないでしょうか。○塚越理事社会保障費のうち、医療の部分に多くのお金がかかっています。少し古いデータですが※、70歳までは、医科診療費では、「入院外と調剤」でお金がかかっていますが、70歳を超えると、「入院+食事・生活療養」にお金がかかっています。つまり、入院しているところにテクノロジーが使えると、医療費が削減できるのではないかと考えます。高齢者への医療費を、うまくテクノロジーでカバーするこができれば社会保障費を大きく削減できるのではないかと思います。※平成22年医療給付実態調査報告(厚生労働省保健局)○参加者B仕事として、保育士になる人を育成する立場にいます。消費税率引上げによって、保育料が無償化となりましたが、保育士への手厚い保障があればいいと思います。保育士になりたいと思って大学に入ってくる人の大半は卒業後は保育士にならず給料がいいところに就職してしまいます。専門性が高くて、子どもの命を守る仕事ですが、非常に待遇が悪く、保育士になりたい人はいても、なれない社会なのだと思っています。なので、子どもの保育の無償化や待機児童をなくすことは大事だと思いますが、保育士になりたい人がなれる社会になったらいいなと思います。また、新潟県の保育所はすごく賃金が安いので、都会に流れていきます。新潟県では保育をやりたい人がなれない状況にあるます。どうにか解決できればいいなと思っています。○中西室長安心して子育てができるよう、保育士の処遇改善は重要であると考えています。保育士の処遇改善については、引き続き、財務省としてもしっかり考えていきたいと思います。○参加者C保育士も、去年からキャリアパス制度が始まって、ミドルの方、7年目以上の人は研修を受けると月額4万円支給されます。これは仕事に対するモチベーションにもなると思います。保育士に対しての手当も厚くなっており、もともとの給料は低いですが、この5年間ぐらいで給料は10%ぐらい上昇してます。東京に流れるというのは、東京の保育士の初任給で一番高いところが26万7,000円ですが、家賃補助が8万4,000円となっており、東京でも可処分所得自体はそんなには高くないと分かります。東京と新潟では可処分所得はあまり変わらないので、給料は安いけど空気とお酒のおいしい新潟で生きていくという選択肢が増えれば34 ファイナンス 2019 Dec.SPOT

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