2019年12月号 Vol.55 No.9
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言える20~74歳の人口が急激に減っていくことが見込まれます。次に、今回の消費税率の引上げの背景や増収分の使途についてお話しします。かつて社会保障制度の設計をしたときは、高齢者を現役世代で支えていくという制度でした。しかしながら、少子高齢化が進む中、社会保障を見直し、全世代型の社会保障、つまり負担できる方には年齢にかかわらず公平に負担していただき、少子化問題に対応するよう社会保障の使い道として子育て環境を整えることにも支出していくといった方向に転換する必要がありました。それが、今回の消費税率の引上げの目的の一つになります。今回の消費税率の引上げの増収分は、全て社会保障に充当されることが決まっています。子育てしやすい環境をつくり、支え手を増やしていくため、新たに待機児童の解消、幼児教育の無償化等、子育て世代の支援を厚くいたします。なお、消費税は、働いている世代だけが負担する所得税等とは違い、全ての世代が平等に負担します。非常に公平性が高く、さらに、景気に左右されにくいため、より安定的に国民全体で社会保障制度を支えることができます。また、軽減税率制度が導入されましたが、今回は家計への影響を緩和するということで、生活者の視点に立って、例えば必需品である飲食料品については軽減税率8%のまま据置きということが決まっております。最後に、受益と負担のバランスについて説明します。税金などの負担が大きいヨーロッパ諸国について、消費税は25%以上と負担は高くなっていますが、社会保障も充実しています。一方、韓国、アメリカでは、社会保障の受益は少ないですが、その分、税金は安く負担も少なくなっています。特にアメリカは、自分のことは自分で何とかするという自助の意識が強いという国民性があらわれています。日本は社会保障の受益は年々増えていますが、負担は抑えられているので、受益と負担のバランスが不均衡の状態に陥っていいます。私たちの世代が、将来世代にツケを回すことのないように、社会保障制度の中でも医療をどうするかとか、介護をどうするかなど、もっと具体的に議論していくとともに、我々子どもを持つ親として、どの•消費税の税率を引き上げることによる増収分は、全て社会保障に充て、年金・医療・介護制度の充実・安定を図るとともに待機児童の解消や幼児教育・保育の無償化など子育て世代のためにも使い、全世代型の社会保障に転換していきます。消費税率引上げによって実現する政策(全世代型の社会保障制度) ファイナンス 2019 Dec.31ファザーリング全国フォーラムinにいがたSPOT

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