2019年12月号 Vol.55 No.9
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して、国や府の制度改正に即応し、他市の情報を集め、年間を通して計画的に事業を進めていくことは徹底されています。他方で、定量的な政策目標を打ち立て、それを実現しうる複数の政策を立案し、データの収集を行いながら検証を進めて、より適切な政策を探していく「PDCAサイクル」について、あまり意識されていない場面にも遭遇しました。そこで、意欲的な20~40代の職員とともにデータに基づく政策立案(EBPM)に取り組む研修を本年2月から開催しました。参加表明した職員14名を3班に分け、各班が1つのテーマについてデータの収集・事例調査をし、その分析報告に対して、私がコメントを加え、次の課題を出すというものです。そのうち一つの班は、「芸術祭を用いた地方創生」をテーマに半年間研究を進め、新しい文化政策の方向性を提言しうる内容となりました。こうした政策提言は、形にし、発信してこそ意味をもつため、内閣府主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト2019」*15に応募提出することとし、8月から10月にかけて、関連する文化政策や事業の分析をさらに進め、スライド資料の作成を指導しました。当コンテストは2016年から始まり、2019年で第4回目の開催。昨年では全国から975件もの応募があった大会であるため、課題分析の充実、対応する政策提言について実施の際に集めたデータを用いた説得力の強化、さらには資料の構成や見やすさなど、大局から細部に至るまで研修メンバーと数時間の検討会を毎週重ね、資料を作成しました。その労が報われ、近畿地方予選において最高位となる近畿経済産業局長賞を受賞し、近畿地方代表として、全国大会に臨むこととなりました。優勝チームを決めるべく、地方創生大臣などを前にプレゼンする最終選考が12月14日に都内で行われるため、研修メンバーの頑張りがどこまで届くか、楽しみです。*15) https://contest.resas-portal.go.jp/2019/ 最後に以上が、昨年7月の着任から本年11月執筆時点までに関わることのできたプロジェクトです。多岐に渡り、未知の分野もある中で、(1)データを集めた上で考えること、(2)指示だけでなく自分の手を動かしてみること、の2点が重要だと思っています。例えば、「広報の充実」など言葉でいえば簡単ですが、実際にHPを作成したり、アクセス解析を自らやってみることで初めて実態が分かりますし、時間やお金をどれほどかける価値があるのかが分かります。また、政策の発信力を重視しています。どれほど精魂込めた地方創生の取り組みでも、人に気付いてもらえなければ何も始まらないためです。こうした考えのもと、本市について発信するブログ記事を、色々な方に相談しつつ、着任後すぐの昨年7月から書き始めてみました。SNSや名刺のQRコードも使いながら、同僚たちとも協力してコツコツと発信を進め、「地方創生 ブログ」と検索すれば、検索トップに立つなど、多くの方に見ていただけるようになりました。本稿の題名「かめはうさぎより遠くにいける」も、そのブログタイトルであり、本市の地方創生を発信するものです。うさぎのように速く走ることはできず、掲げた目標が遠く見えたとしても、着実に歩めば、必ずたどり着けます。さらに多くの方々に出会い、アイデアや情報を共有できるよう挑戦を続けていきますので、ご紹介した取り組みや今後の展開にご関心があれば、ぜひご連絡を頂ければ幸いです。 ファイナンス 2019 Dec.25地方創生の現場から【第7回】

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