2019年12月号 Vol.55 No.9
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例えば、年数の経過により未使用でも廃棄されてしまうパラシュート生地を用いて巨大エコバッグ(フライバッグ)を本年7月に制作・展示した後、これに市民200人が型紙をあてて切りとり、思い思いのエコバッグを製作するワークショップを10月に開催しました。また、ロート製薬やグリコなどのロゴマークを手掛けた奥村昭夫氏の協力を得て、環境をテーマにした亀岡市のブランドロゴを生み出す取り組みを進めています。同時に、レジ袋禁止をはじめとする議論の場を公開し、各種取組のマスコミ周知を徹底的に行いました。その甲斐もあってか、環境政策に対する市民理解も上がってきた手応えがあり、地元新聞が10月に行った意識調査結果では、レジ袋禁止条例素案への賛成が63%と過半を示しています*13。この中で、私の仕事は、レジ袋禁止にとどまらず、ごみを出さない地域づくりに向けた政策の全体像を描き、企業活動や他の政策との連携を図ることです。本市は、環境省が支援する持続可能な地域づくりである「地域循環共生圏づくり」を進める全国35の活動団体の一つに選定されており、環境・経済・社会の3側面に関する地域ビジョンをより具体化していきます。その際、亀岡市ならではの地域性を活かした芸術活動を、地域資源を価値化する柱の1つに位置付けています。アートを軸に、環境や農業、地域経済、観光など各種の要素を結びつけ、持続可能な地域の未来像を示す「かめおか霧の芸術祭2019」のメインイベン*13) 2019年10月22日京都新聞トを来年1月18日~19日の2日間に渡り、市内で開催予定です。本市を包む霧が最も美しい季節ですので、上述の大河ドラマ観光と合わせて、ご覧いただければと思います。(4)企業連携―ふるさと納税、RPAやAI本市にとって、企業連携は大きなテーマになっています。地方創生を進め、時代にあった行政サービスを提供し、効率的な組織運営を行う上で、企業の事業ノウハウや技術サービスを利用することが不可欠であるためです。二つの取り組み例をご紹介します。ア.ふるさと納税昨年、過剰な返礼品競争とそれに対する総務省の規制動向が注目された「ふるさと納税」は、本市においては2018年実績で寄付金受入れ額が6億843万円と、京都府下市町村で最大の金額であり、災害等で財政調整基金の取り崩しが続いた中、重要な財源となっています。何かと批判も多く、最終的には国税にも関わる「ふるさと納税」ですが、制度趣旨に基づいて取り組み、地域活性化につなげていくことが重要です。本市では、市長公室に専属の職員がおり、100を優に超える地元業者や大手ECサイトとの協議を日々行い、地場産品の開発や魅力の見せ方について、地域全体のレベルが上がるように取り組んでいます。とくに、本市の返礼品のうち人気があるのは、肉や米、野菜といった農産物です。ふるさと納税利用者の4割が東京圏に居住しているというデータを踏まえると、東京という大消費地の顧客に対して外商し、自分たちの地域の商品がどのように評価されるのか明確になることは、事業の展開を考える一つの契機になっています。他方、ふるさと納税市場の利用者が本市や地場産品の魅力を知り、市場外でもリピーターになるというのが理想ですが、事業者へのヒアリングでは、そのような顧客の流入はまだ大きな流れにはなっていないため、今後取り組むべき課題だなと感じています。(写真6:フライバッグ写真) ファイナンス 2019 Dec.23地方創生の現場から【第7回】

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