2019年12月号 Vol.55 No.9
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マ館の展示面積は約500m2で、2020年における最大規模のドラマ館となる見込みです。長期的な傾向として視聴率が低下してきたともされる「大河ドラマ」ですが、毎年ゆかりの地に設置される大河ドラマ館への年間入場客は、最多100万人超を記録し、集客施設としての力があります(最多は2016年「信州上田真田丸大河ドラマ館」の103万人)。他方、その建設や運営に関する費用及び広報宣伝費用は数千万円から数億円に上ります。本市では、スタジアム開業及び大河ドラマ館開設による集客効果を市内周遊に結びつけるべく、宿泊施設の誘致、ガイドの育成、ゆかりの地をめぐるドライブマップの制作、芸術家の目線で市内の城下町やスポットの魅力を解説するガイドシステムの開発などを進めています。過去の来場者情報を見ると、大河ドラマ館にはリピーターが多いため、彼らが足を運ぶ理由となるよう、展示内容も年間で数回リニューアルしていく予定です。ぜひお見逃しないようにお越しください。(3)環境政策「全国に一石を投じたい」という市長の言葉に表れているように、本市では、2020年8月1日からの施行を目指し、全国初のレジ袋禁止条例の制定を掲げています。地方小都市の施策について全国メディアが取材に来ることは多くありませんが、レジ袋禁止の方針を打ち出した「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」(2018年12月13日)の翌日は、全国各紙の紙面を亀岡市についての記事が飾りました。*12) 例えば、ソフトバンク社とは環境先進都市づくりに向けたICT活用及び環境教育の推進等を内容とする事業提携を結び、当提携の第一弾として、同社の人型ロボットPepperを導入する全国800校以上で利用可能な小学生向け環境教育プログラムを共同で開発しました。私も年明けから市長や環境政策担当者とともに、企業や団体との協議の場に参加するようになりました。本市は2012年に内陸部の自治体として初めて海洋ごみの対策推進に向けた「海ごみサミット」を開催するなど、市をあげてごみ問題に長年取り組んできた経緯がありますが、「思いつきで政策をされても困る」「レジ袋禁止は次元の低い政策。もっと高次の環境政策に取り組んでください」など、市外に本社をおく企業の方々から厳しい声を頂くことも当初ありました。根気よく協議を続ける中で、市内スーパー各社と協定を締結し、今夏からレジ袋有料化の実施に至りました。さらに、レジ袋禁止も消費者の理解を得られれば実施できる(得るための努力・広報周知を徹底しよう)という意見が主流になり、条例の素案を示しながら、より具体的な制度設計を議論するようになりました。また、ソフトバンク社をはじめとする賛同企業とパートナーシップを結んできており、各企業それぞれのやり方でごみ削減に向けた取り組みを一緒に進めていこうという機運が高まっています*12。「何もしなければ埋立地が残り20年で満杯になってしまう」との課題を抱える本市は、ごみを出さない地域づくりを進める必要があります。企業や市民一人ひとりの理解と行動変容が求められるところ、レジ袋禁止条例は議論を喚起し、企業や消費者の環境意識を変える重要な役割を持ちます。意識を変えるには、環境への取り組みを理性だけでなく感性にも訴えかける必要があり、本市の環境政策は、アートやデザインの力を活用していることに特徴があります。(写真5:共同開発したPepperによる環境教育)(資料4:麒麟がくる 京都大河ドラマ館広告)22 ファイナンス 2019 Dec.

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