2019年12月号 Vol.55 No.9
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地方創生に積極的に取り組む自治体(原則人口10万人以下)に対しては、国家公務員や大学研究者、民間人材を、市町村長の補佐役として自治体に派遣しています。本記事では、こうした制度などを通じて2018年度以降に財務省から各地に派遣された職員から、現地の概況や地方創生の取組について紹介します。地方創生の現場から【第7回】かめはうさぎより遠くにいける~京都府亀岡市の地方創生~京都府亀岡市 副市長 仲山 徳音*1) 亀岡市民憲章*2) 出典:亀岡市HP「人口統計」及び内閣府RESAS「人口マップ」(2019年11月17日取得時点)*3) 国交省「国土のグランドデザイン2050参考資料」(2014年7月4日)p361539枚と22回―この1年4ヶ月で交換した名刺の枚数と講演した回数です。昨年7月から、京都府亀岡市において「地方創生」に挑んできました。一人ではできない仕事であるため、できるだけ沢山の方々に出会い、アイデアや情報を共有してきました。 亀岡市が地方創生に取り組む理由巻末でお示しするように、本市の人口構成は日本の平均と重なります。「京都から西へ、老ノ坂を越えれば朝霧の晴れ間に亀岡盆地が広がる。豊潤な水脈は、田園や里山に多彩な実りをもたらし、舟運を支えてきた保津川は、いまも渓流の舟下りで賑わっている。*1」と謳われた自然景観の美しい本市も、人口減少・少子高齢化の波に飲み込まれ、変化を余儀なくされています(2019年4月1日現在で、人口88,833人、高齢化率29.3%、2020年における5年前と比較した人口増減率の予想は-3.8%、2040年では-7.7%*2)。(1)人口問題のリアルそもそも読者の方々は人口問題がなぜ重要か、リアルに感じたことはあるでしょうか。例えば、本市の人口88,833人はどのような意味をもつか、市民の方々に問われたときに説明できるでしょうか。こうした時、私はよく国交省資料「サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模(三大都市圏を除く)*3」から説明しています。この資料に基づくと、例えば、地域医療支援病院は三大都市圏を除き全国に274あり、22万5千人以上の人口を有する自治体の8割に存在しますが(存在確率80%)、9万7,500人以上の人口を有する自治体に広げてみると、存在確率は50%に低下します。また、銀行は9,500人以上の人口を有する自治体ならば存在確率は80%ですが、6,500人以上となると存在確率は50%です。つまり、地域の人口が減ると、日本の産業構造の7割を占めるサービス産業が成り立ちにくい、という現実を示しています。ここから時間軸を伸ばしてみると、(写真1:朝霧の晴れ間から見える亀岡市)亀岡市マスコットキャラクター「明智かめまる」 ファイナンス 2019 Dec.19

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