2019年12月号 Vol.55 No.9
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開始前に、吟味され、適切に対処される必要があることについて、G20の一致した認識を確認できた。(参考1) 国際租税に関するG20プレスリリース(仮訳)1. 我々は、6月のG20大阪サミットで承認された作業計画に基づき、税源浸食・利益移転(BEPS)に関する包摂的枠組みによって主導された、経済の電子化に伴う課税上の課題への対応に関する最近の進捗を歓迎する。作業計画は、2つの柱から構成される。1つ目の柱は、課税権の配分に焦点を当て、利益配分及びネクサスルールについて一貫性を保ちながら同時に見直そうとするものである(第1の柱)。2つ目の柱は、無税又は軽課税に服する企業への利益移転という残されたBEPSリスクに対処しようとするものである(第2の柱)。2. 我々は、2020年末までに取りまとめられる最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策に向けた全面的な支援を再確認する。この野心的な期限に間に合わせるために、我々は、BEPS包摂的枠組みが2020年1月までに制度の大枠に合意することの重要性を強調する。制度の大枠には、2つの柱の性質及び相互関係に関する決定も含まれる。我々は、第1の柱における統合的アプローチの提案に係るOECD事務局の努力を歓迎する。3. 我々は、外部の利害関係者からの更なる意見を募るべく、OECD事務局によって提案された第1の柱における統合的アプローチに対するパブリックコンサルテーションが開始されたことに留意する。同アプローチは、高度に電子化されたビジネスモデルを含む消費者向けビジネスに焦点を当てるよう提案している。同アプローチは、物理的拠点の有無にかかわらず、対象となる納税者に関する新たなネクサスを創設する。提案されている新たな利益配分ルールにおいては、定式に基づく手法を使うことで、対象となる納税者の収益の一部を市場国に再配分する。効果的な紛争防止・解決メカニズムを含め、税の安定性を高めることが、同アプローチの重要な要素である。4. 我々は、BEPS包摂的枠組みにおける共同の取組において、2つの柱に関する更なる進捗を期待するとともに、OECDに対してサウジアラビア議長国下における2020年2月の次回会合において作業の進捗状況を報告することを求める。(参考2) グローバル・ステーブルコインに関するG20プレスリリース(仮訳)1. 我々は、基準設定主体が現在行っている金融技術革新から生じる既存の及び生じつつあるリスクについての作業を支持するとともに、大阪サミット首脳宣言を受けて金融安定理事会(FSB)および金融活動作業部会(FATF)から提出された、グローバル・ステーブルコインに関する報告を歓迎する。2. 我々は、2020年におけるFSBおよびFATFの更なる報告を期待する。我々はまた、IMFに対し、現在行っている作業に立脚して、加盟国の通貨主権に係る問題を含むマクロ経済上のインプリケーションについて、各国の特徴を考慮しつつ、検討することを要請する。3. 我々は、金融技術革新による潜在的な便益を認識しつつも、グローバル・ステーブルコイン及びその他のシステム上大きな影響を与えうる類似の取組が政策及び規制上の一連の深刻なリスクを生じさせることになるということに同意する。そのようなリスクは、特に、マネーロンダリング、不正な金融、消費者・投資家保護に関するものを含め、こうしたプロジェクトのサービス開始前に吟味され、適切に対処される必要がある。2国際通貨金融委員会 (2019年10月19日)国際通貨金融委員会(注)においては、世界経済の動向等について議論が行われた。(注) 国際通貨・金融システムに関する問題についてIMFに助言および報告することを目的として1999年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第40回目。世界経済について、麻生大臣からステートメントで、成長を続けているものの2018年後半以降モメンタムは弱含んでおり、貿易を巡る緊張の継続、地政学的な懸念や個別国の不透明な政治状況といった下方リスクの現実化を避けるために、国際協調の意義について認識を新たにし、これをより高い水準に押し上げてゆくことが重要であることを指摘した。 ファイナンス 2019 Dec.11IMF・世銀年次総会およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要 SPOT

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