2019年12月号 Vol.55 No.9
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を深めるためのキャンペーンが行われた。国際金融の分野では、昭和48年2月に円の変動相場制への移行、同年7月には相互銀行の外国為替業務が開始された。財務局においては、49年から理財部理財課で外国為替検査を実施することとなった。その後、昭和61年、有価証券投資が増大する中、健全な投資顧問業へのニーズが拡大したことを背景に、投資顧問業に関する法律が施行され、財務局においては、投資顧問業者の登録・検査が開始された。また、この時期の財政運営においては、税の直間比率の見直しも計画され、所得税等の減税に合わせて平成元年に消費税が導入された。(3)平成の財務局の役割平成に入り、バブル経済崩壊を契機として、社会全体に閉塞感が広がり、また、アジア通貨危機等の外的ショックに加え、国内金融機関が相次いで破綻したことにより、金融システムへの信頼が著しく低下した。こうした中、金融行政機構の改革が行われ、10年6月には総理府の外局として金融監督庁、12月には同庁を改組して金融再生委員会が発足した。財務局においては、これらの機関の委任を受けて民間金融機関等の検査・監督を行うこととなった。平成13年1月には、省庁再編が行われ、明治2年以来続いた大蔵省は財務省となった。また、金融再生委員会の改組とともに内閣府の外局として新たに設置された金融庁が金融に関するすべての事務を担うこととされ、その事務を地方において行うものについては財務局に委任されることとなった。財務局では、地域に密着した経済官庁としての機能をより一層発揮するため、平成13年に理財部におかれていた経済調査課を各部の情報が集中する総務部等に移管し、財務広報相談室(官)との連携を強化することにより、情報の受発信機能を強化し、各種広報活動の更なる充実を図ることとした。また、「地方分権一括法」の施行を受けた地方分権改革の推進により、平成12年に都道府県知事から信用協同組合の検査・監督、17年に法定外公共物の直接管理が移管された。更に、予算執行調査、地方公共団体の財務状況把握、庁舎の使用調整、外国為替証拠金取引業者の監督、少額短期保険業者の監督などの新規業務を担うこととなった。(4)近年の財務局の役割近年では、特定の財務局の所管地域を越えて業務を展開する事業者(仮想通貨交換業者、高速取引行為者、電子決済等代行業者等)が監督対象となるなど、業務量の増加とともに、業務内容も高度化・専門化している。また、平成23年に発生した東日本大震災の教訓、反省を踏まえ、大規模広域災害や原子力災害の対策を強化するため、中央防災会議において決定された「防災基本計画」において、防災に関する諸活動の推進に当たっては、国有財産の有効活用を図ることとされた。これにより、災害応急対策等への備えとして避難場所、避難施設、備蓄など、防災に関する諸活動の推進に配慮することとされた。更に主計部門においては、東日本大震災をはじめ、その後発生した平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などの大規模災害における災害査定立会業務を、部門や各財務局の管轄区域を越えて、財務局一体となって対応している。このように、財務局は、地方分権、規制改革など、行政改革を促す大きな流れの中で、業務内容にも変革が求められることとなり、その時々における経済社会情勢の変化に呼応した行政需要に積極的に対応している。発足当初の北九州財務局の建物。旧軍財産を移築して利用していた。6 ファイナンス 2019 Dec.

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