2019年11月号 Vol.55 No.8
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各地の話題を見ない「年ねん稿こう」と呼ばれる縞々の地層があります。水月湖は水深が深く、湖内に直接流れ込む大きな河川がなく、その流入などで湖底の堆積物がかき乱されることがないため、年稿が一枚ずつきれいに積み重なっている状態が保たれています。福井県年稿博物館には、その45mにも及ぶ年稿の実物がステンドグラス(写真)として展示されています。【福井県年稿博物館】 小刀根トンネル敦賀市・刀根集落を過ぎた所に、旧北陸本線時代の「小刀根トンネル」が残っています。総高6.2m、前幅6.7m、総延長56mの明治14年に貫通したトンネルは、日本人技師により設計された最初のトンネルであり、建設当時の姿を今に伝えるものとしては日本最古の鉄道トンネルとなっています。トンネルの形は馬蹄型のレンガ積みであり、入口上部の要石には「明治十四年」の文字が刻まれています。敦賀には旧北陸線トンネル群として小刀根トンネルを含む13基のトンネルが掘られ、そのうち11基が現在も残されています。【小刀根トンネル】 松尾芭蕉像敦賀は俳人・松尾芭蕉が奥州や北陸を巡る旅の途中で訪れた地として知られています。芭蕉は元禄2年(1689年)8月、気比神宮や金ヶ崎・色ヶ浜等を渡り歩き次のような多くの句を詠みました。「奥の細道」の中に記されているそれらの句は、今も市民に親しまれています。現在は、気比神宮には銅像をはじめ、芭蕉が詠んだ句を刻んだ碑が建てられており、全国の芭蕉ファンが訪れる観光スポットとなっています。・名月や 北国日和 定めなき・月清し 遊行の持てる 砂の上・ふるき名の 角つぬ鹿がや恋し 秋の月・月に名を 包みかねてや 痘瘡の神【松尾芭蕉像】 弁天岬美浜町久々子海岸の西端にある弁天岬。かつて若狭地方を訪れた弘法大師がこの地を通った【弁天岬】 ファイナンス 2019 Nov.81連載各地の話題

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