2019年11月号 Vol.55 No.8
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は好評を博した。Japan 2019においても、第18回東京NY友好陶芸コンテスト(2019年11月13日~11月19日 ザ・ニッポン・クラブ日本ギャラリー)を開催。この他、北斎や広重の浮世絵、津軽三味線のコンサート、盆踊り、東北の郷土芸能などのイベント。⓯おわりに前号と本号でご紹介した人たちのうち、国際交流基金が設立された1972年まで存命だった米国人は、いずれも、日米の国際文化交流に貢献した業績により国際交流基金賞(セルジュ・エリセーエフ1973年、J.ウィリアム・フルブライト1974年、エドウィン・O・ライシャワー1975年、ドナルド・キーン1983年、エズラ・ヴォーゲル1996年、ジェラルド・カーチス2002年、ジョー・プライス2006年、フレデリック・ショット2017年、アレクサンドラ・モンロー2017年)を受賞している。ただ、最近、受賞した人たちは、それそれの分野で大きな貢献をしているものの、必ずしも誰でも知っている名前ではないように思われる。そのような状況において、日本や日本文化への理解・関心の裾野を広げる目的で開催された昨年のフランスでのJaponismes 2018に引き続き、今年、米国で同様の文化行事Japan 2019を開催。フランス、米国での事業を実施した国際交流基金の安藤理事長は「文化は一回の事業では浸透しない。壁をはけで塗るように、何度も繰り返してやり続けることに意味がある。大切なのは一回限りで終わらせないこと、他の国でも行うことだ」と狙いを語る。ジェラルド・カーチスは、「私が大学院で日本の研究を始められたのは国防教育法による奨学資金をもらったからである。外国語の教育は国防であるというケネディ大統領の考え方は、当時のアメリカにとって大変重要だった。今の日本はソフトパワーが国防であるという発想が同じように必要ではないかと思う。」と語ったが、最近の厳しい国際情勢の下、近年、米国において、日本に対する関心が薄れていく中で、今後もいかに日本が米国や世界の人々の関心を惹き付けるような魅力的な国であり続けるのかが大きな課題である。ペリー来航以来の年表(前号及び本号の本文及び主な参考文献等により筆者作成)1853ペリー来航1854ペリー再来航、日米和親条約調印(下田、箱館の開港)1861南北戦争(‐1865)1863奴隷解放宣言1867大政奉還1868明治維新1873ウィーン万博に日本が初の正式出品1876米国建国100周年。フィラデルフィア万博に日本が二回目の正式出品1887ルース・ベネディクト誕生1889大日本帝国憲法発布。アーサー・ウェリー誕生。セルジュ・エリセーエフ誕生1894日英通商航海条約調印(領事裁判権の撤廃)、日清戦争(‐1895)1900パリ万博でセルジュ・エリセーエフ、日本館を見て感動1904日露戦争開戦(‐1905)1905J・ウィリアム・フルブライト誕生1907米陸海軍が東京の米国大使館で日本語学習開始1908セルジュ・エリセーエフ東京大学入学1910エドウィン・O・ライシャワー、東京で誕生1911日米・日米通商航海条約の調印(関税自主権の完全回復)1912日本からアメリカに贈られた桜がワシントンのポトマック川沿いに植えられる1917ロシア革命1922ドナルド・キーン誕生1925アーサー・ウェリーのThe Tale of Genji発刊(1933年までに6巻)1927エドウィン・O・ライシャワー、米国に移住1929世界恐慌始まる。ジョー・プライス誕生1930エズラ・ヴォーゲル誕生1935ワシントンで最初の「桜祭り」開催1938ドナルド・キーン、16歳でコロンビア大学入学1940ドナルド・キーン、The Tale of Genji購入、ジェラルド・カーチス誕生1941太平洋戦争開戦1942ドナルド・キーン海軍日本語学校入学1943ドナルド・キーン海軍語学将校としてハワイに派遣。以後、1945までにアッツ島、キスカ島、沖縄等に1945太平洋戦争終戦、国際連合成立。Jウィリアム・フルブライト上院初当選1946日本国憲法公布。ルース・ベネディクト、「菊と刀」発行。フルブライト法批准1947日本国憲法施行。ドナルド・キーン、ハーバード大学に移る ファイナンス 2019 Nov.45ペリー来航以来の日米文化交流と「Japan 2019」(下)SPOT

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