2019年11月号 Vol.55 No.8
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(2) ④法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式の柔軟化、⑤勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化(図3-2参照)例えば、法人税申告の別表六(一)は、配当等に係る所得税の税額控除額を計算するための別表で、銘柄ごとに収入金額や所得税額等の明細を記載する必要があります。また、勘定科目内訳明細書も、前述のとおり明細を記載する必要があります。その上で、e-Tax送信を行う場合には、明細記載部分も含めてXML形式(データ・文書の構造を表示するためのテキストデータ)で送信する必要がありました。一方で、企業の皆様からは、「企業内のデータをXML形式に変換するための調整作業が煩雑」、特に、記載件数が多数に上る大法人の皆様からは、「記載欄が数社分しかないため、同一の別表等を膨大な枚数作成する必要が生じ非効率」との指摘をいただきました。そこで、データのXML形式への変換作業や記載量が多くなる場合に同一別表を複数回作成する作業の事務負担を軽減するために、令和元年5月以後提出する申告から、明細記載部分(別表の明細記載を要する部分や勘定科目内訳明細書)をCSV形式で提出できるようにしました。(3)⑥財務諸表のデータ形式の柔軟化(次頁図3-3参照)現在のところ、財務諸表をe-Taxで送信する場合、財務諸表データはXBRL形式で提出することとなっています。XBRL形式とは企業開示で使用されている国際的な標準形式であり、日本でも上場企業の有価証券報告書はこの形式で提出するよう義務付けられています。当初は、そのデータを利用することで法人税申告書に添付する財務諸表をスムーズに提出できるのではないかと考えていましたが、企業の皆様からは、「e-Tax送信のための調整作業が煩雑」との指摘を多くいただきました。作業が煩雑になる主な原因としては、有価証券報告書で利用できる勘定科目は約6,400に上るのに対して、e-Taxで利用できる勘定科目は約1,600であるため、勘定科目の名称や順番を変更する等の作業が必要になることや、有価証券報告書は百万円単位で作成されていることなどから、有価証券報告書用のXBRL【図3-2:法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式の柔軟化、勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化】申告書の電子化促進のための環境整備【④法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式の柔軟化】【⑤勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化】実施済:令和元年月以後提出する申告より適用見直し前…企業内のデータをXMLに変換するための調整作業が煩雑。また、記載量が多くなる場合には、複数回数、同一の別表等を作成する必要が生じ、非効率。…別表1等別表6別表6別表6別表6データ税務署見直し後別表1等別表6別表6のCSVデータ個別明細部分※CSVデータ作成用の標準フォーム()を提供予定。データ+データソフト等に取込みCSV化(※)企業内データを変換するための作業が軽減される。記載量が多くなる場合でも、複数回数、同一別表を作成不要。別表のうち明細記載を要する部分注や勘定科目内訳明細書について、現状のデータ形式(XML形式)に加え、CSV形式による提出が可能となった国税庁から標準フォームを提供。(注所得税額の控除に関する明細書(別表6)など※財務諸表についても同様の施策を実施税務署14 ファイナンス 2019 Nov.SPOT

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