2019年11月号 Vol.55 No.8
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「事業年度開始の時」に判定します。消費税等の申告で、期間特例を受けている法人の各課税期間の消費税等の申告は、「課税期間開始の時」に判定することになります。(3)対象手続確定申告書だけでなく、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書が対象になります。(4)対象書類「申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類の全て」となっているので、「財務諸表」や「勘定科目内訳明細書」等の全てが対象となります。(5)届出規定対象となる法人は、納税地の所轄税務署長に対し、適用対象事業年度等を記載した「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出する必要があります。なお、この届出書は既にe-Taxを利用している場合にも提出する必要があります。(6)適用日令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用になります。(7)例外規定電子申告義務化制度には例外規定があり、書面申告が可能な場合があります。図1-2の下段の表に具体的なケースを例示しました。災害であれば、自然災害やインターネット回線の故障などによりオンライン手続が一時的に不能になった場合、その他、経営破たん等によりインターネットの利用契約を解除した場合等が挙げられます。このようなケースに該当した場合には、納税地の所轄税務署長の事前承認を受けることで書面で申告書の提出ができます。なお、災害などにより書面による申告書の提出もできない場合は、従来からの制度である「申告期限の延長」を申請してください。4申告書の電子化促進のための環境整備(次頁図2参照)続いて、「申告書の電子化促進のための環境整備」として導入する利便性向上施策です。図2に示している各施策は、納税者である各企業の皆様や税理士会などから頂いたご意見・ご要望を踏まえ、技術的な対応可能性やコスト面などの観点から検討を行い実施することとなったものです。具体的な項目は16項目ありますが、その中でも、法人税申告書を作成するに当たって利便性の向上が図られる施策と地方税との連携により実現する施策である10項目(図2③、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑪、⑫、⑬、⑯)をそれぞれ個別に説明します。その他の施策については、是非e-Taxホームページ(https://www.e-tax.nta.go.jp/hojin/gimuka/sesaku.htm)をご覧ください。なお、これらの利便性向上施策は、電子申告の義務化の対象となっていない法人も利用可能です。(1)③勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化(次頁図3-1参照)勘定科目内訳明細書は、大法人の場合、記載件数が膨大になること、また、多くの法人は、取引の相手先を支店や事業所ごとに管理しているので、明細書記載のために相手先別に名寄せすることが大変とのご意見がありましたので、記載内容を簡素化できるようにしました。例えば、売掛金の内訳書は、これまでは期末現在高が50万円以上のものを個別に記入し、その他は一括集計し記載するようお願いしていました。しかし、平成31年4月以後に終了する事業年度の申告からは、記載すべき件数が100件を超える場合には、図3-1「見直し後」のとおり、上位100件(個別に99件記載し、100件目にその他合計分)を記載する方法(記載省略基準の柔軟化)か、支店・事業所別の合計金額を記載する方法(記載単位の柔軟化)のいずれかを選択できるようになりました。併せて、貸付金や受取利息の内訳書の「貸付理由」欄や借入金及び支払利息の内訳書の「借入理由」欄等は記載欄そのものを削除し、記載不要とするなどの見直しも行いました。12 ファイナンス 2019 Nov.SPOT

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