2019年11月号 Vol.55 No.8
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自動で損益が計算できる「仮想通貨の計算書」を提供シェアリングエコノミーと同様、利用者の増加している暗号資産(仮想通貨)においては、平成30年分の確定申告から、手続きの簡素化を実施している。平成29年分の確定申告では、納税者が自ら仮想通貨の取引情報を交換業者から収集しなければならなかったが、平成30年分の申告からは、交換業者が「年間取引報告書」を納税者に交付することとなり、年間の取引内容を手軽に正確に把握できるようになった。また、納税者が望む場合には、交換業者から個々の取引履歴データの提供を受け、データと自動計算アプリ等を利用して、所得計算をすることも可能になっている。さらに納税者が年間取引報告書の内容等を基に数値を入力すると、申告に必要な所得金額等が自動計算できる「仮想通貨の計算書」を国税庁のホームページで公開している。実際の申告では、交換業者から交付された年間取引報告書の数値を入力していくだけで簡単に「仮想通貨の計算書」を作成できる。その後は確定申告書を電子又は郵送すれば手続きが完了する。暗号資産(仮想通貨)申告の簡便化を推進図表13 平成30年以降の暗号資産の確定申告納税者(2)「年間取引報告書」で集計済の年間取引の総額等に基づき「仮想通貨の計算書」を活用して仮想通貨の所得を自動計算※交換業者は顧客の求めに応じて、個々の取引履歴データを提供し、そのデータと自動計算アプリ等を用いて所得計算をすることも可能交換業者A交換業者B(4)確定申告書を電子又は郵送で提出(1)年間取引報告書の交付※記載内容を統一(3)仮想通貨の所得を確定申告書に記載仮想通貨の計算書税務署図表14 仮想通貨の計算書の作成方法【参考】収入金額計2,500,0001,210,000必要経費計※売却した仮想通貨の取得価額※色のついたセルに入力します。白色のセルは自動計算されます。収入金額必要経費所得金額売却価額売却価額2,000,0002,000,000500,0001,200,00010,000010101.01.01,000,0001,000,0001,290,000証拠金(差益)売却原価(※)手数料等証拠金(差損)※前年の(H)(I)を記載※売却した仮想通貨の取得価額金額数量-売却等数量金額数量金額●●電気決済月日取引先A交換所年始残高(※)購入等総平均単価売却原価(※)年末残高・翌年繰越合計摘要購入等合計取引所の名称購入売却数量金額数量金額3 上記2以外の取引に関する事項4 仮想通貨の売却原価の計算5 仮想通貨の所得金額の計算平成30年分氏名国税 太郎1 仮想通貨の名称ビットコイン2 年間取引報告書に関する事項仮想通貨の計算書(総平均法用)(I) 1,800,000(G) 1,200,000(E) 600,000(D) 3,000,000(B) 0(H) 3.0(F) 2.0(C) 5.0(A) 05.03,000,0001.01,000,0001,000,0005.03,000,0001.01,000,000STEP 1 年間取引報告書の記載項目を入力STEP 2仮想通貨での決済があれば必要事項を入力STEP 3前年末の残高があれば年始残高に入力STEP 4売却価額・売却原価・所得金額が自動計算AAAABBBCCDDDcolumn ファイナンス 2019 Nov.9シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への対応で国税庁の果たす役割特集

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