2019年11月号 Vol.55 No.8
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プロジェクトチームを設置。 全国200人規模で取組み国税庁では、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動の適正課税を確保するための環境作りを進める一方で、情報収集・分析にも力を入れていく。一つ目は法的な枠組みの整備。インターネットを通じた業務請負の普及など、経済取引の多様化・国際化が進展する中で適正課税を確保するため、令和元年度の税制改正では、事業者等に対する任意の照会(協力要請)について法令の規定が明確化された。また、一定の法令の要件に該当する場合に限り、担保措置(罰則)を伴う形で国税当局が事業者等に情報の報告を求める仕組みが整備された。また、海外取引や海外資産の把握に関しては、国外送金等調書や国外財産調書をはじめとした各種の法定調書制度が設けられているほか、租税条約等に基づく外国の税務当局との情報交換の枠組みがある。国税庁はこうした法的な枠組みも積極的に活用して、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に関する情報収集に努めていく。二つ目はプロジェクトチーム等の設置。これまで全国税局・沖縄国税事務所に設置している「電子商取引専門調査チーム」を中心に、電子商取引に関する情報収集・分析等に取り組んできたが、シェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動にも的確に対応するため、2019年7月からは、「電子商取引専門調査チーム」をはじめ、関係部署の職員で構成されるプロジェクトチームを全ての国税局・沖縄国税事務所に設置し、全国200名規模で情報収集・分析等を強化していく。三つ目はICTの積極活用。インターネット上で公開されている情報を効率的に収集する技術など、新たなICTの活用を進めるとともに、デジタル・テクノロジーに精通した人材の育成・登用を進めていく。実際、平成29事務年度には、インターネット取引を行っている個人に対して2015件の実地調査を行い、1件当たりの追徴税額は約186万円、総額で約37億円を追徴課税している。今後も積極的に調査を実施していく。法的な枠組みの積極活用などで適正申告に向けた情報収集を徹底国税庁の取組み(3)図表11  インターネット取引を行っている個人に 対する調査状況(取引区分別)ネット通販616コンテンツ配信33ネットオークション435ネット広告241ネットトレード336その他のネット取引354合計2,015件出典:平成29事務年度所得税等の調査事績の概要図表12 1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)(万円)7761,2121,1359931,4411,28402004006008001,0001,2001,4001,600その他のネット取引ネットトレードネット広告ネットオークションコンテンツ配信ネット通販出典:平成29事務年度所得税等の調査事績の概要8 ファイナンス 2019 Nov.

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