ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
9/88

待機児童の解消や幼児教育・保育の無償化などを盛り込む消費税率の引上げで得られた財源は、具体的にどのように活用されるのか。消費税率の引上げに伴う増収分は、すべて社会保障に充てられる。借金頼みになっていた部分の一部に代わる安定財源を確保するとともに、従来、高齢者中心となっていた社会保障制度を拡充し、子育て世代のためにも使えるよう「全世代型」に転換する(参照/政府広報=https://www.gov-online.go.jp/cam/shouhizei/)。これにより、より子育てのしやすい環境を整備するとともに、老後をより充実・安心なものにし、支え手の拡大を図る。今回の消費税率の引上げで実現する政策には主に(1)待機児童の解消、(2)幼児教育・保育の無償化、(3)高等教育の無償化、(4)介護職員の処遇改善、(5)所得の低い高齢者の介護保険料軽減、(6)年金生活者支援給付金の支給がある(図表4)。増収分の財源の使い道は?高齢者中心の社会保障から子育て世代を含む全世代型社会保障へ図表4●消費税率の引上げで実現する政策住民税の非課税世帯を対象に65歳以上の介護保険料の軽減を強化。※住民税の非課税世帯は65歳以上の約3割を占めている。所得が一定以下の年金受給者へ最大年6万円の給付金を支給。※障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者で一定の要件を満たす場合にも給付金を支給する。経験・技能のある介護職員の処遇改善を重点的に進め、介護の受け皿を整備し、介護離職ゼロを目指す。3歳から5歳までのすべての子供たちの「幼稚園」「保育所」「認定こども園」等の利用料を無償化。※0歳~2歳児については住民税の非課税世帯を対象として無償化。住民税の非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生に対し、授業料減免・給付型奨学金支給。※新入生だけでなく、在学中の学生も支援の対象。待機児童問題を解消し、女性就業率80%に対応できる「子育て安心プラン」に基づいて令和2年度末までに約32万人分の保育の受け皿を新たに整備。所得の低い高齢者の介護保険料軽減年金生活者支援給付金の支給介護職員の処遇改善幼児教育・保育の無償化高等教育の無償化待機児童の解消 ファイナンス 2019 Oct.5引上げの背景は? 使い道は? 影響緩和策は?消費税率の引上げについて特集

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る