ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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高齢化が進む中、特定の世代に負担が偏らない財源人生の様々な場面で生活を支える社会保障は、あらゆる世代の安心につながるセーフティネット。安定した社会保障制度を次の世代に引き継いでいくことが重要である。そのため、(1)高齢化が進み支え手が減少していく中で特定の世代に負担が偏らない財源(2)景気(経済動向)などの変化に左右されにくい財源(3)経済活動に対する影響が相対的に小さい財源で支える必要がある。消費税は物やサービスを購入する際、国民の誰もが負担する。そのため、現役世代など特定の世代に負担が偏らず、国民全体で広く負担を分かち合うことができる。なお、所得の低い方への配慮の観点から、消費税率10%への引上げの際に、飲食料品(お酒・外食を除く)等の税率を8%(うち1.76%は地方消費税)とする軽減税率制度が実施されている。また、消費税収は、経済動向等の変化に左右されにくいという特徴がある(図表3)。そのため、私たちの生活を支える社会保障制度を安定的で持続可能なものにするための財源としてふさわしい税といえる。さらに、消費税は、貯蓄・投資を行う意欲や勤労意欲に対して影響が小さく、経済成長と親和的である。加えて、輸入品には課税される一方、輸出は免税となるため、事業者の国際競争力に中立的といえる。なぜ消費税か?広く負担を分かち合う税であり税収が安定、経済活動に対する影響が相対的に小さい図表3●一般会計税収の推移0510152025303501020304050607062(1987)63(1988)平成元(1989)2(1990)3(1991)4(1992)5(1993)6(1994)7(1995)9(1997)10(1998)11(1999)12(2000)13(2001)14(2002)15(2003)16(2004)17(2005)18(2006)19(2007)20(2008)21(2009)22(2010)23(2011)24(2012)25(2013)26(2014)27(2015)28(2016)29(2017)30(2018)令和元予算(2019)(兆円)法人税(右軸)一般会計税収計(左軸)(年度)消費税(右軸)所得税(右軸)(兆円)8(1996)46.850.854.960.159.854.454.151.051.952.153.949.447.250.747.943.843.345.649.149.151.044.338.741.542.843.947.054.056.355.558.8 60.462.517.418.021.426.026.723.223.720.419.519.019.217.015.418.817.814.813.914.715.614.116.115.012.913.013.514.015.516.817.817.618.919.919.915.818.419.018.416.613.712.112.413.714.513.511.410.811.710.39.510.111.413.314.914.710.06.49.09.49.810.511.010.810.312.012.312.93.34.65.05.25.65.65.86.19.310.110.49.89.89.89.710.010.610.510.310.09.810.010.210.410.816.017.417.217.517.719.4(注)平成30年度以前は決算額、令和元年度は予算額である。4 ファイナンス 2019 Oct.

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