ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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とが大事なのです。この取組も終わりのあるものではなくて、「これができるようになったから次はこれができる。」と、進んでいくと見えてくる風景が変わります。このようなことも含めて進化していくことが重要であり、やり続け、新しい当たり前にしていくことが重要です。外からは変化が見えにくくても、実は内部で何かが実っていて、脱皮して次に向かうこともあります。動いていないように見えるときでも実は何かが内部で変容しているのだ、と感じていただけるようなメッセージを省内に発し続けることも大切です。(2)財務省の組織理念財務省の組織理念が明確化・明文化されました。変化が激しい時代には、自分が取り組んでいることについて、これで良いのかと不安になるときがあると思います。そのような航海の先に動かずある北極星のようなもの、また、多様性が求められるからこそ、皆で共有できるものが重要だと考えています。この組織理念は2,300人もの方の参画を得て、皆で知恵を合わせてつくったものですから、自信を持ってここに立ち返って良いものだと考えています。時間が経つほどに個々人にとってその深みが増すものであればと願っています。(3)組織理念活用のための要素次に、この組織理念を活用するための要素についてです。組織理念の浸透のためには民間組織で言うならば「経営幹部のリーダーシップ」「社員の参画」「経営幹部が浸透度と課題を知る仕組み」という3つの要素を活かすことが重要です。ア.経営幹部のリーダーシップまず、組織理念を作り、それを「経営幹部のリーダーシップ」をもって巻き込み、コミットメントを得ていく。経営幹部が自らの言葉で組織理念を語れるようになることは非常に重要です。次に、「社員の参画」によって自分のものにしていく。このとき大事なのは、社員が自分の言葉で語ることです。場合によっては、小グループでの意見交換会のような形式も効果的です。イ.社員の参画組織理念は経営幹部が多様な社員と共通に議論するきっかけともなりうるのです。構えて準備しなくても使える社内コミュニケーションの道具であることが重要だと言えます。財務省で組織理念を用いて職員とコミュニケーションするときには、財務省という組織にふさわしい、いくらか青臭いけれど白けないやり方を考えていくことが大事だと思います。ウ.経営幹部が浸透度と課題を知る仕組み私どもの会社が20年ぐらい前に開発した「データを活用した意識調査」という手法があります。これ財務省の組織理念62 ファイナンス 2019 Oct.連載セミナー

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