ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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特集消費税率の引上げについて10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられ、軽減税率制度が実施された。これに関し、総理は、10月4日の所信表明演説において、「消費税率引上げによる 影響には、引き続き十分に目配りしてまいります。教育の無償化に加え、軽減税率、 プレミアム商品券の発行、更には、自動車や住宅への大胆な減税など十二分の対策を 講じ、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えすることで、経済の好循環を確保してまいります」と表明している。消費税率引上げ、軽減税率制度などの各施策の円滑な実施にあたっては、「消費税軽減税率制度導入関係府省庁会議」及び「消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部幹事会」が随時開催される等、関係省庁が緊密に連携してきた。今後についても、麻生財務大臣が、10月1日の閣議において、「軽減税率制度の円滑な実施や中小企業、小規模事業者等への消費税の転嫁拒否などに対する監視など、消費税の円滑かつ適正な転嫁というものの確保などについて各大臣の協力、配慮等をお願いする」という旨の発言をしているとおり、引き続き政府一丸となって必要な対応を行うこととしている。ここでは改めて、消費税率引上げの背景、使い道、家計・景気への影響緩和策等について紹介する。なお、ここでご紹介する内容は、基本的に、政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/cam/shouhizei/)や財務省ホームページ(https://www.mof.go.jp/consumption_tax/index.html)にも掲載されているが、読者の皆様におかれても、適宜ご参照いただきたい。 取材・文 向山勇※ 一般に「消費税」とは、消費税(国税)と地方消費税(地方税)を合わせたものである(税率10%のうち2.2%は地方消費税)。本稿では、消費税と地方消費税を合わせたものを「消費税」と表記している。引上げの背景は? 使い道は? 影響緩和策は?2 ファイナンス 2019 Oct.

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