ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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円)は、借金返済(公債費)への措置額の減少や、人口減少に伴い、大幅に減少しています(生活に必要な赤字バス路線維持費用など、人口が減ると歳出増になる事項もあるのが実情なのですが……)。以下では、今後負担が重くなる借金返済の実負担をピックアップします。次号では、せっかく財務省広報誌ファイナンスなので、国と同様に、増加する社会保障関係経費の課題が財政力の弱い地方自治体(ひいては住民)の苦しさの根底にあることにも触れてみます。ちなみに、新潟県は一人当たり医療費が26.7万円(平成29年度実績(速報値))と全国で最も低いです。今後のしかかる借金返済公共事業の事業量は減少傾向にあるのですが、県の実際の借金返済の負担が増えているのです。これは、公債費(地方債の元利償還)に対する交付税措置率の見直しによるものです。大きくは、平成14年度と平成22年度に引下げが行われ、例えば国の補助が付く県事業(港湾等)は60-70%から45%、さらに45%から30%に引下げられました。地方単独の道路事業は平成22年度に37-56%から0%に。自ら事業の要否を判断する仕組みを、という財政の分権の観点からです。このほか、新潟県独自の対応として、交付税措置のない借金(一定の限度で発行できる行政改革推進債、退職手当債)を平成15年度から毎年度100-350億円程度行ったり、償還スケジュール(国は60年)を平成20年度に20年から30年に延ばすことにより、単年度の収支を均衡させてきたことが、今日そして今後の負担になっています。この制度要因と県独自の対応、今後の負担増の寄与度はおおむね半々ですが、令和元年度の実負担が約600億円であるところ、令和10年度には約800億円とさらに苦しくなる見込みです(図2)。なぜこんな状況になるまで対応してこなかったの?と疑問に思われた方。続きは次回に。知事の給与20%カット、事業の総点検、利用しやすくなった企業版ふるさと納税のお願い、若手職員の政策提案など、県はこれからどうしようとしているのかと合わせて触れたいと思います。いつもと違うジャンルの内容を最後まで読んで頂きありがとうございました。図1 収支不足に対応するための基金の状況940000(億円)財源対策的基金県債管理基金(公債費調整分)507498487451389310139371337275194100200300400500600H27年度末(2015)H28年度末(2016)H29年度末(2017)H30年度末(2018)R1年度末(2019)R2年度末(2020)R3年度末(2021)R4年度末(2022)図2 公債費(実負担)の将来推計2004006008001,0001,2001,4001,600H28(2016)H29(2017)H30(2018)R1(2019)R2(2020)R3(2021)R4(2022)R5(2023)R6(2024)R7(2025)R8(2026)R9(2027)R10(2028)(年度)+約200億円0(億円)1,800交付税措置額実負担 ファイナンス 2019 Oct.55ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?連載ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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