ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
28/88

努めている。また、管理体制として、担当役員を長に、システム部門及び各現業部門には、それぞれの役割に応じた管理者と担当者を配置して、安全対策を組織的に有効に機能させる仕組みとしている。(3)法令遵守体制沖縄公庫では、沖縄振興開発金融公庫法に基づき、主務大臣から任命された監事が業務を監査している。監事は、沖縄公庫法第9条第5項により、監査の結果に基づき必要があると認めるときは、理事長又は主務大臣に意見を提出することができる。そのほか、業務全般について会計検査院の検査が行なわれるとともに、主務省による検査も行われる。毎年度の決算は国会に提出され、その承認を得る。また、政策金融機関として高い公共性を有する沖縄公庫は、その使命を達成するため、誠実、公正な職務の執行に努め、顧客をはじめ広く社会の信頼を得ていく責務がある。このため沖縄公庫においては、適切かつ健全な業務運営を図るために、コンプライアンス体制の構築を業務運営上の重要課題と位置付け、その徹底を図るべく、以下のような組織的取組を進めている。ア.コンプライアンス体制コンプライアンスに関する組織的取組についての基本事項を定めた「法令等の遵守に関する規程」を制定し、役員自ら率先して体制の整備に取り組んでいる。また、同規程に基づいて理事長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置して、コンプライアンスに関する重要な事項を審議している。さらに、コンプライアンスに関わる企画立案・総合調整を担う「コンプライアンス総括室」を設置しているほか、各部店にコンプライアンス責任者及びコンプライアンス担当者をそれぞれ配置し、他のセクションから独立した「検査役」が、全部店を対象に検査役監査を行い、コンプライアンスの徹底状況を確認している。イ.コンプライアンスの具体的な取り組み(ア)コンプライアンスマニュアルコンプライアンスを実践するための手引書として「コンプライアンスマニュアル」を策定し、全役職員に周知徹底している。(イ)コンプライアンスプログラム体制整備や関連研修等の具体的な実践計画としてコンプライアンスプログラムを毎年度策定し、研修の開催を通じて、周知・徹底している。(ウ)反社会的勢力の排除反社会的勢力との関係を遮断し、排除することが、国民からの信頼を維持し、業務の適切性及び健全性の確保のために不可欠であることを認識し、警察等関係機関とも連携して適切に対応している。(4)政策金融評価沖縄公庫は、業務の適切な運営のための自己改善を推進するため、政策評価の結果を事業に反映させる仕組みの構築について外部有識者の意見等を踏まえながら取り組んできた。前事務年度分については、沖縄振興施策の各分野別に融資実績を整理し、融資先事業者へのアンケート及び経済団体等に対するヒアリングをとおして、(1)売上高や雇用面から見た事業の継続発展への貢献状況、(2)沖縄振興施策に対する貢献状況、(3)民業補完の状況といった視点から評価を行い、「平成30年度政策金融評価報告書」として取りまとめ、公表している。今後とも、政策金融評価等による自己改革を通じて、沖縄振興に貢献していく政策金融機関として、地域に根ざした政策金融を進めていくこととしている。(5)行動指針役職員の行動指針が平成13年度(平成24年に追加)に制定されており、公庫の職員の名刺の裏側に明記されている。図1のとおりである。制定の経緯は、八木橋惇夫理事長(当時)が、平成13年(2001年)という21世紀の幕開けを迎えるにあたり、財政投融資改革、特殊法人改革が進行しつつある状況下で、組織の存在意義(レゾンデートル)をもう一度見つめなおし、そこから新たな道を模索していくことが王道ではないかと考えたとのことである。平成12年12月に職員に経営理念について案を募り、策定されたのが当初のものである。その後、平成24年8月に公庫内部で改正沖縄振興開発法を踏まえた沖縄公庫のあるべき姿(役割)を議論し、公庫のスピリットやコアコンピタンスが付加されて現在の姿となっている。24 ファイナンス 2019 Oct.SPOT

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る