ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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な相談、支援に努めます。新事業創出促進出資については、ベンチャー支援機関やOIST等の研究機関等と連携し適確な事業評価に努めるとともに、投資ファンド等と連携し新規出資に取り組み、沖縄の優位性を発揮する新事業及び社会的課題の解決に資する新事業の創出促進に努めます。加えて、出資先企業に対するフォローアップにより、創業・新事業の立ち上げ、成長を積極的に支援します。オ.事業承継への積極的な取組事業承継支援機関や税理士会等の関係機関と連携し、後継者不在企業の経営者に対する意識の醸成及び円滑な事業承継に向けたコンサルティング機能の充実に努めます。また、事業承継に伴う多様な資金ニーズに対し、民間金融機関と協調・連携した円滑な資金供給に努めます。カ.事業再生への積極的な取組専担部署と融資原課との連携による事業再生ノウハウの共有化やコンサルティング機能の充実、認定経営革新支援機関と連携した早期経営改善計画の策定支援等、顧客特性に応じた早期の経営支援に取り組みます。特別の管理体制等を要する大規模事業者や中小企業等については、実態把握に基づく再建可能性の検討を進め、引き続き民間金融機関や関係機関と連携し、公的再生スキーム等を活用した協調融資、DES等の支援により、事業再生を推進します。(2)総合リスク管理沖縄公庫では「統合リスク管理規程」を制定し、当公庫の業務運営上留意すべき重要なリスク(信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等)を適切に管理するため、理事長をトップとした統合リスク管理委員会を設置し、適切かつ効果的なリスク管理体制を整備している。ア.信用リスク沖縄公庫では、本店の各出融資部門及び事業管理部門が当該業務に係る企画、立案及び各支店等への指導を行っている。さらに、これらの部署から独立して、自己査定、信用格付等の信用リスク管理を担う「信用リスク管理統括室」を設置し、信用リスク管理態勢の強化を図っている。また、各出融資部門及び事業管理部門から独立した「審査役」を設置し、個別案件の審査・与信管理にあたり、牽制が働く態勢としている。なお、政府系金融機関である当公庫は、「銀行法」及び「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融再生法)」の対象ではないが、金融庁の「金融検査マニュアル」等に準拠した基準を策定し、自己査定を実施している。イ.市場リスク沖縄公庫は、現状、外貨建ての資産及び負債を保有しておらず、為替リスクは存在しないことから、主に金利リスクの把握・分析に努めている。金利リスクの分析にあたっては、デュレーション分析、マチュリティ・ラダー分析等の手法を活用している。なお、一時的に発生する余裕金の運用にあたり保有できる債券は、法令により国債、地方債又は政府保証債に限定されている。運用については、価格変動リスクを負わないよう現先取引としているが、現在の市場環境では現先取引は成立していないことから、可能な場合は、譲渡性預金による運用も試みている。ウ.流動性リスク沖縄公庫の資金調達は、安定的な財政融資資金の借入れが大宗を占めており、流動性リスクは限定的なものと考えられる。なお、年度途中における日々の資金繰りの調節及び不測の事態に備えるため、複数の民間金融機関に当座貸越枠を設定し、適宜、短期借入れを行うことにしている。エ.事務リスク沖縄公庫は、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより公庫が損失を被るリスクを適切に管理するため、「事務リスク管理規程」を定め、各種事務マニュアル等の策定や、研修・内部会議における周知、内部の点検結果等を踏まえた再発防止策の整備により、事務リスクの管理に努めている。オ.システムリスク沖縄公庫は、情報処理技術の進展によるシステムリスク管理の重要性の高まりを踏まえ、「システムリスク管理規程」、「情報セキュリティ対策に関する規程」を定め、システムリスク統括部署を中心に、システムリスクの極小化と情報資産の適切な保護に ファイナンス 2019 Oct.23人口減少社会における地域活性化に係る諸機関の連携とそのガバナンスについて(試論)~沖縄公庫の実践例を踏まえて SPOT

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