ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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務の的確な執行に努めている。この役員会において、毎年の業務運営方針も付議されたうえで、組織決定される。役員に関しては、沖縄公庫法第7条に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)……第78条の規定は公庫について準用する」と規定されていることから、公庫の代表者が、その職務を行うにつき他人に損害を与えたときに、沖縄公庫が損害賠償責任を負うことになる。また、公庫の目的の範囲外の行為により他人に損害を与えたときの賠償責任については、一般社団法人等と同様、民法第719条(共同不法行為)の規定により、役員等が連帯して賠償責任を負うことになると考えられる。平成31年度の業務運営方針においては、「平成31年度は現沖縄振興計画の8年目にあたり、この間、沖縄経済は好調に推移し、雇用拡大が続いている一方で、子どもの貧困対策や雇用の質の改善等、喫緊に解決すべき地域課題が顕在化している。このため、沖縄振興の基本方向である『沖縄らしい優しい社会の構築』及び『沖縄の優位性を生かした民間主導の自立型経済の発展』の好循環を促し、沖縄における地域課題の解決及び持続可能な経済・社会の発展に貢献すべく、引き続き国や県等と連携を密にして沖縄の地域特性を十分に反映させた業務を推進する。」こととしているほか、民間金融機関との協調・連携に努めることとし、これらを踏まえ、出・融資業務について、以下の重点事項に取り組むこととしている。業務運営の重点事項(要旨)は、下記ア~カのとおりである。ア.沖縄公庫らしい役割・機能の発揮事業執行にあたっては、子どもの貧困対策や雇用の質の改善等の地域課題解決に向け、ひとり親支援、産業振興を担う人材の育成支援、中小企業・小規模事業者等の生産性向上支援、ソーシャルビジネス支援に努めるとともに、沖縄の優位性を生かしたリーディング産業育成支援、創業・ベンチャー企業支援、海外展開支援、6次産業化の推進等による離島・北部地域の振興支援、地域経済の活性化のために重要な事業の承継や再生支援、セーフティネット需要へのリスクマネーの供給等、引き続き多様な資金ニーズに対しきめ細かく適切に対応するよう努めます。また、調査機能の拡充及び大学、シンクタンク、自治体や地域のステークホルダーとの連携強化により、地域経済分析の充実に努めるとともに、地域の特性を生かした産業振興、駐留軍用地跡地等の地 域開発、PPP/PFI手法を活用した社会資本整備や地域振興政策等にかかる情報発信に努めます。さらに、沖縄振興において重要なプロジェクトに対し、コンサルティング等による事業化及び高付加価値化の支援に取り組みます。イ.顧客の立場に立った業務の迅速・適切な執行沖縄公庫のワンストップサービス機能を最大限発揮するため、顧客ニーズを的確に把握し、親身で迅速かつ適切な対応と相談環境の整備に努めます。また、貸付制度の周知や特別相談、国の中小企業支援施策や働き方改革を推進するための各種認定制度等の情報提供・発信、経営課題への適切なアドバイス等について関連機関や民間金融機関と連携し、積極的に取り組み、顧客満足度の向上に努めます。ウ.中小企業・小規模事業者等への円滑な資金供給等中小企業・小規模事業者等に対しては、民間金融機関と協調・連携し、個々の実情に応じた柔軟かつきめ細かな対応を図ることとし、融資にあたっては、個人保証や担保等に必要以上に依存することなく、「経営者保証に関するガイドライン」等を踏まえた円滑な資金供給に努めます。特に、経営環境変化等により業況や資金繰りが悪化している顧客に対しては、特別相談窓口等によりセーフティネット貸付制度等の資金繰り支援策について周知を徹底するとともに、民間金融機関や関係機関との連携を図りながら、引き続き条件変更及び円滑な資金供給に努めます。また、金融面からの支援に留まらず、モニタリング等による状況把握、経営支援、財務アドバイス等のコンサルティング機能の発揮に努めます。さらに、教育資金等、広範な顧客層の資金ニーズに対し、民業補完に配慮しつつ円滑な資金供給に努めます。エ.創業・新事業の支援等沖縄における産業振興や雇用創出にとって重要な創業支援を強化するため、商工会議所等の関係機関との連携など、引き続き創業・起業に関する専門的22 ファイナンス 2019 Oct.SPOT

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