ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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れている。沖縄公庫は、設立以来、沖縄における唯一の総合政策金融機関として良質な資金の供給等総合力を発揮し、経済の振興及び社会の開発に積極的に取り組んできている。平成19年度には地域の課題解決に向けた組織横断的な専担部署として、地域プロジェクト振興班(現「地域振興班」)を設置し、公民連携プロジェクト(PPP、PFI等)の事業性を高めるため、「ファイナンス機能」のみならず「コンサルティング機能」、「コーディネイト機能」等のトータルソリューションを提供する業務を行っている。さらに、市町村との「助言業務協定」締結等により地域プロジェクトの構想・企画段階から積極的に参画し、より豊かで特色あるサステナブル(持続可能)な地域社会を築く取組を市町村と一体となって推進している。今後も引き続き、これまで培った沖縄経済に対する知見や長期金融のノウハウ、そして当公庫が有する政府関係機関を含めた幅広いネットワークを活かし、国や県等の重点施策と一体となって沖縄振興に貢献していくこととしている。ア.地方創生の取組を支援沖縄公庫は、地域プロジェクトに係る助言業務協定を締結し、市町村と一体となって地域活性化に取り組んでいる。助言業務協定・締結先一覧(21市町村)は表1のとおりとなっている。平成31年4月には「第4回公庫・市町村パートナーシップ推進会議」を開催し、当公庫の取組等を紹介したほか、助言業務協定先の市町村長と各地域が抱える課題や当公庫に対する要望について意見交換を行った。沖縄公庫は、今後も助言業務協定先の市町村との連携強化に努めていくこととしている。イ.「PPP/PFI地域プラットフォーム協定」締結(令和元年5月)内閣府と国土交通省は、地域の関係者が主体となったPPP/PFIの推進を一層促進するため、地域の産官学金が集まりPPP/PFI事業のノウハウ取得や官民対話を含めた情報交換等を行う取組を支援する「PPP/PFI地域プラットフォームの協定制度」を創設し、協定先として全国から21の地域プラットフォームを決定した。沖縄県においては、「沖縄地域PPP/PFIプラットフォーム」が協定先として選定された。同プラットフォームは、沖縄公庫がPPP/PFI分野の事例研究のほか、関係者間の相互連携強化を図ることを目的に平成30年7月に設立したものである。両府省と同協定を結ぶにあたり、新たに「産」分野より沖縄電力株式会社、「官」分野より沖縄県が同プラットフォームの共同代表として参画した。沖縄公庫、沖縄県、沖縄電力株式会社の共同代表3機関は、同プラットフォームの活動を通じて、民間金融機関や関係支援機関と連携しながら、PPP/PFI分野に関する地方公共団体の取組を積極的に支援していくこととしている。(2)各種主体との連携について沖縄公庫が締結している関係団体との連携の状況は表2のとおりである。最近では、平成30年7月に、沖縄県信用保証協会と「創業支援に係る業務連携・協力に関する覚書」を締結した。本覚書は創業支援に係る業務連携を円滑に行うことにより、沖縄の地域経済の発展に資することを目的としている。ア.小規模事業者に対する取り組み小規模事業者に対しては、商工会議所や商工会、生活衛生同業者組合等と密接に連携し、無担保・無保証の貸付制度である「小規模事業者経営改善資金(マル経資金)」や「生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(衛経資金)」により、経営改善や衛生水準の向上を支援している。また、平成24年度には沖縄県の施策に則して表1 <参考>助言業務協定・締結先一覧(21市町村)締結年月協定先平成19年5月北谷町平成23年10月八重山3市町 (石垣市・竹富町・与那国町)平成26年5月宮古2市村 (宮古島市・多良間村)平成26年12月北中城村平成27年8月南城市平成28年1月西原町平成28年8月浦添市平成29年2月恩納村平成29年12月座間味村平成30年2月国頭村・大宜味村・東村平成30年6月本部町平成31年3月八重瀬町平成31年4月久米島町令和元年8月名護市令和元年9月金武町令和元年10月うるま市 ファイナンス 2019 Oct.19人口減少社会における地域活性化に係る諸機関の連携とそのガバナンスについて(試論)~沖縄公庫の実践例を踏まえて SPOT

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