ファイナンス 2019年10月号 Vol.55 No.7
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1TICAD7について2019年8月28日(水)から8月30日(金)にかけて、横浜市のパシフィコ横浜にて、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催されました。TICADとは、Tokyo International Conference on African Developmentの略で、アフリカの開発をテーマとする国際会議です。TICAD7には、アフリカ53か国をはじめ、開発パートナー諸国や国際機関及び地域機関、民間セクターやNGO等市民社会の代表等、10,000名以上が参加し、「アフリカに躍進を!ひと、技術、イノベーションで。」のテーマの下、広く議論が行われました。安倍総理大臣がエルシーシ・エジプト大統領(AU議長)と共に共同議長を務め、麻生副総理兼財務大臣が日本側議長代理を務めました。2TICAD7における財務省の支援策2019年6月、日本議長の下、G20が初めて日本で開催されました。このG20の成果のうち、特に質の高いインフラ投資、債務持続性の確保、UHCファイナンス等について、TICAD7に反映すべく、TICAD7における財務省の支援策を策定しました。具体的な支援策は次の通りです。(1)民間投資拡大のための枠組みの整備・強化TICAD7では、「ビジネス促進を議論の中心に」を柱の1つに掲げ、安倍総理が、過去3年間で200億ドル規模だった対アフリカ民間投資が今後更に大きくなるよう、政府として全力を尽す旨表明され、企業側からもアフリカ事業を積極的に推進していくとのコミットメントが示されました。財務省は、アフリカへの民間投資のより一層の拡大に向け、アフリカ開発銀行(AfDB)と国際協力機構(JICA)の円借款の協調融資枠組みである「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」(EPSA)を質・量ともに拡充することとしました(後述:3(2)参照)。また、国際協力銀行(JBIC)のアフリカ貿易投資促進ファシリティ(FAITH)を3年間で45億ドルに拡充し、日本企業のアフリカビジネス拡大を支援する他、アフリカ各国との租税条約の締結を推進していきます。(2)債務持続可能性の確保かつて、大きな累積債務を抱え、国際社会による債務救済を受けたにもかかわらず、足元、多くの途上国において債務の持続可能性が懸念されています。このため、巨額な開発需要がある中で、十分な開発資金を得られにくくなっています。このような状況となっている要因の一つとして、借り手側が適切に債務を管理し、債務の透明性を高める能力が不足していることが挙げられます。これを受けて、日本が拠出する各国際機関の信託基金を活用し、アフリカ諸国の債務管理能力構築の支援の実施や、世界税関機構とJICAの協力等を通して、アフリカ各国の税関職員・税務職員の能力構築支援の強化を行っていきます。第7回アフリカ開発会議(TICAD7)と財務省の取組について国際局参事官 大場 雄一議事進行を行う、麻生副総理兼財務大臣10 ファイナンス 2019 Oct.SPOT

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