ファイナンス 2019年9月号 Vol.55 No.6
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1はじめに中川運河位置図名古屋駅の南に広がる大規模再開発エリア「ささしまライブ24」地区から名古屋港に通じる「中川運河」。中川運河は、工業都市として発展を図るため名古屋市が開削し、昭和7年に全線開通しました。全延長は約8.2km、幅員は最大91m、完成当時は「東洋一の大運河」と呼ばれたそうです。昭和26年の名古屋港管理組合(愛知県と名古屋市による一部事務組合)設立後は、同組合が港湾施設として管理しています。昭和39年には年間7万5千隻を超える船が往来し、名古屋の経済発展に大きく貢献してきました。しかし、昭和40年代に入ると、道路網の充実から輸送形態は船からトラックへと変わっていき、中川運河を通航する船舶も徐々に減少。現在では、1日数隻の小型タンカー船が往来するにとどまり、取扱貨物量も最盛期の1~2%となっています。また、中川運河は、古くから下水道や周辺事業者からの排水を受け入れていました。水源のない閉鎖的な水域であるため、海水を取り込み「松重ポンプ所」で接続する堀川へ排出する水循環を行っているほか、公共下水道の整備による浄化対策がなされていますが、水の透視度が低く時折臭気が発生する箇所もあり、快適な水環境と言えない状況にありました。松重ポンプ所と松重閘こう門もん2中川運河再生計画名古屋港管理組合と名古屋市は、これまで物流を中心に名古屋の暮らしとモノづくりの発展を下支えしてきた中川運河を、人びとが集い、うるおいや憩い、にぎわいをもたらす運河へと再生するため、「中川運河再生計画」を策定しています。にぎわいゾーン中川運河の再生に向けて東海財務局理財部融資課調査官今井 希代名古屋86 ファイナンス 2019 Sep.連載各地の話題

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