ファイナンス 2019年9月号 Vol.55 No.6
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暴風、洪水、高潮、その他の 異常な天然現象が対象近年、自然災害による被害が増加している。平成30年は7月の豪雨等により浸水被害や土砂災害が発生したほか、北海道胆振東部地震をはじめとする震度5弱以上の地震が10回発生、口永良部島の噴火などもあり、全国各地で災害が発生した。地震や台風、豪雨等の自然災害によって道路や河川、学校等の公共的な施設、農地・農業用施設等が被害を受けたときには、被災した施設等の管理者である地方公共団体等が復旧を行うこととなる。しかし、費用負担が莫大になることも少なくないことから、一定の要件を満たす復旧事業については、国がその経費(災害復旧事業費)の一部を負担もしくは補助する制度がある。その際、少しでも早く復旧をして、生活の安定が取り戻せるよう、現地に出向いて災害の状況や国が負担する事業費の調査を行っている。これを災害復旧事業の査定立会という(P6参照)。災害復旧事業費の対象となるのは、暴風、洪水、高潮、その他の異常な天然現象による災害で、一般的な火災や人災等、人為的な災害は対象とならない。また、災害復旧には、原形復旧と改良復旧がある。原形復旧は異常な天然現象によって被災した施設を原形に復旧するもので、原則、被災する前と同じ状態に戻すもの。これが災害復旧事業となる。一方で改良復旧は災害復旧事業に加えて再度災害の防止のために行うもの。これには災害関連事業、災害復旧助成事業(河川、海岸)などがある。災害復旧事業の対象となる災害種類状態降雨最大24時間雨量が80 mm以上・ 時間雨量が20 mm以上洪水警戒水位以上・河岸高の2分の1以上暴風最大風速(10分間の平均風速の最大)が15 m/s以上干害連続干天日数(日雨量が5 mm未満)が20日以上その他高潮・津波、噴火、融雪、地すべり、地震、落雷、凍上他自然災害に起因する事象災害復旧制度における災害とは暴風洪水高潮その他※※豪雪・落雷・突風・噴火・津波・地すべり等これらの異常な天然現象による災害災害復旧とは原形復旧異常な天然現象により被災した施設を原形に復旧する事業。●災害復旧事業改良復旧災害復旧事業に加え、再度災害防止のために行う事業。●災害関連事業●災害復旧助成事業(河川、海岸)  等早期復旧で民生の安定と被害の増大等を防止自然災害による公共的な施設の被災は国が復旧費用の一部を負担 ファイナンス 2019 Sep.3豪雨や地震などでの被災に迅速に対応災害復旧事業で果たす財務局の役割特集

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