ファイナンス 2019年9月号 Vol.55 No.6
35/94

虫がいるんですよ。オスとメスの見分け方はこうです。」など。博物館の建物も、武田五一氏の設計になる歴史的な建築物であるので、岐阜県にお越しの際は是非お寄りいただきたい。7県営公園岐阜県の公園といえば、養老公園、百年公園、花フェスタ記念公園、ぎふ清流里山公園などがある。共通点は、どれもとんでもなく広いことだ。一日だけでは十分に見て回ることはできない。百年公園(廃藩置県で岐阜県が置かれて100周年を記念して整備された公園)の中には岐阜県立博物館があるが、公園南口から入ると、博物館に辿りついた時点でだいぶん疲労している(公園北口から入りましょう)。その中で、今回は養老公園をご紹介したい。「ああ、養老の滝があるところ。」と思われたあなたは正しい。しかし、ご紹介するのは、公園の中にある「養老天命反転地」。英語名はsite of reversible destiny。すごい名前で、入るときに「どうなってしまうのだろうか。」とドキドキする。これが一体何かというと、美術家の荒川修作氏の手になる、体験型の芸術作品である。いわゆる庭園とお考えいただければいいだろうか。名前からしてよくわからないが、中に入ると、「極限で似るものの家」、「白昼の混乱地帯」、「もののあわれ変容器」、「陥入膜の径」、「死なないための道」とあり、さらによくわからない(そもそも読み方もわからないものがあるし)。全体に、坂があったり、障害物があったりしており、また、広いので、貸していただける運動靴で歩こう。私が行ったときは人が少なかったので、大学生が全力で鬼ごっこをして遊んでいたが、急斜面なので相当危ない。アニメ「聲の形」の中で描かれたことと、不思議な写真がたくさん撮れるインスタ映えスポットNo.1ということで、近年大人気となっている。「天命反転地」で検索すると、そのような写真がたくさん出てくる。例えばネズミのいるテーマパークであれば、「ルールを守ってこうやって遊んでください。おっとはみ出さないで。」、「どうです、楽しかったでしょう。」という押しつけがましい感じ(注:個人の感想です)だが、ここは芸術作品だけあって、すっきりとは理解できない。「これは何だろう」、「わからない」という思いの中で、それぞれの人がそれぞれの解釈をして、自由に楽しむものだから、人によってすることはバラバラである。そして、しばらく経つと、「また行ってみようかな。」と思う場所になっている。そもそもネズミのいるテーマパークは、入園するのにものすごく高額のうわなにをくぁwせdrftgyふじこlp8美濃焼美濃焼は、土岐市や多治見市を中心に製作される陶磁器であり、この一帯が日本最大の陶磁器生産地となっている。古墳時代から作陶の記録があるが、作陶に適した粘土があったことなどがその理由らしい。ゴールデンウィーク期間中にはあちこちで美濃焼祭が開催され、いろいろなお皿やお茶碗などを安く買うことができるが、お勧めは土岐市駄知町で行われる「だち窯やまつり」。駄知町にある9つの窯元を自由に巡るのだが、窯元ではお茶やお茶菓子を用意してくれ、実際に陶芸家の方と話をしながらお得に陶磁器を購入することができる。それぞれの窯ごとに個性が豊かであり、少しヒビの入ったものなどが安く売られているので、ついついたくさん購入してしまう。その中でも特に気に入ったのが宗山窯(注:窯元からは何の謝礼も受け取っていない)。陶器に漆を施した漆陶というものを作っておられ、えも言われぬ深い朱色の陶器に心を奪われる。多治見市にはモザイクタイルミュージアムがある。藤森照信氏の設計になる斬新かつかわいい建物で、これまたインスタ映えするということで大人気である。中に入ると、まず最上階へ。天井に一部丸い穴が開いており、晴れの日はいいが、雨や雪の日はどうするのだろうか。館長さんに聞いたら、「そうなんですよねぇ。ただ、藤森先生がこうして設計されたので。」ことほどさように様々な意匠が凝らされている建物である。もし多治見市長さんがたまたまいらしたら、「このモザイクタイルは…」と話しかけてみよう。きっとマシンガントークで、モザイクタイルの故事来歴から多治見市の素晴らしさまで、「…もう、いいです。」と言うまで徹底的に教えていただけるはずだ。多治見市は日本一暑い街として有名であるが、お住まいの人々も熱い方が多い。 ファイナンス 2019 Sep.31「清流の国ぎふ」からSPOT

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る