ファイナンス 2019年9月号 Vol.55 No.6
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〈その他〉その他の税目は10.5兆円であり、前年度から+0.1兆円増加した。補正後予算額との比較でも+0.1兆円上回っている。主な税目ごとに見ると、以下のとおりである。◇相続税は2兆3,333億円であり、前年度から414億円増加した。補正後予算額を933億円上回っている。◇酒税は1兆2,751億円であり、前年度から290億円減少した。ビールの課税数量が見込みを下回ったこと等により、補正後予算額に対して359億円下回っている。◇国際観光旅客税は、日本から出国する旅客に対し、出国1回につき1,000円課税される平成31年1月から導入された新しい税である。平成30年度税収は69億円であり、予算額を9億円上回った。3平成30年度限りの一時的な押し上げ平成30年度決算税収においては、大口の親子間配当に係る源泉所得税(0.4兆円)が、30年度限りの一時的な押し上げ要因となる。親子会社間の配当は、親会社の経営判断によって行われるものであり、翌年度も生じるか明らかでないことから、当該配当に係る源泉所得税については、その年度限りの一時的な要因として整理している。大口の親子間配当に係る源泉所得税については、親会社の確定申告により法人税額から控除されるが、持株会社である親会社は法人税を納税していないことが多く、所得税額を控除しきれず還付になると見込まれる。また、この還付は翌年度に生じることになる。このため、大口の親子間配当に係る源泉所得税(0.4兆円)は、平成30年度税収を一時的に押し上げることになるものの、令和元年度税収の増加にはつながらず、むしろ、同額の還付が生じる分、税収の押し下げ要因となる。4おわりに平成30年度決算税収は、全体としては60兆3,564億円と過去最高の税収であった。決算額が60兆円を超えた年度は、60兆1,059億円を記録した平成2年度以来である。その構成を見ると、平成初期は資産価格上昇により土地等の譲渡所得が増加して所得税収が押し上げられた面が強かったが、平成30年度は所得税、法人税、消費税の基幹3税がそろって増加している。しかし、財政の現状を見ると、歳出が税収を上回る状況が続いている。今後、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化に向け、経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことが重要である。(参考1)30年度一般会計税収(単位:兆円)29年度30年度決算額 (1)補正後予算額 (2)決算額 (3)対29決算 ((3)-(1))対補正後予算 ((3)-(2))所得税18.919.519.9+1.0+0.4給与11.311.711.7+0.4▲0.0配当4.24.55.0+0.8+0.5法人税12.012.312.3+0.3+0.0消費税17.517.817.7+0.2▲0.1その他10.410.310.5+0.1+0.1一般会計分計58.859.960.4+1.6+0.4(参考2)30年度限りの一時的な押し上げ一時的要因の還付▲0.4兆円58.8兆円補正後予算額59.9兆円当初予算62.5兆円決算60.4兆円一時的要因+0.4兆円29年度30年度元年度29決算⇒30補正+1.1兆円30補正⇒元当初+2.6兆円 ファイナンス 2019 Sep.23平成30年度決算税収についてSPOT

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