ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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Report 2平成25年4月には日本銀行の金融政策決定会合において量的・質的金融緩和が導入された。その直後は、金利の変動幅が増大したこと等を受けて、日本国債の保有を減らす動きも見られた。しかし、新興国をはじめとする各国の不安定要因等を背景として、金利が低位安定すると、海外投資家は日本国債の保有を増やした。近年では、ドルの需給が逼迫していることから海外投資家は低コストで円の調達が可能になり、海外投資家の日本国債の保有は増加傾向で推移している。海外投資家の保有額を地域で分類してみると、欧州が83.1兆円で最も多く、北米の35.7兆円、アジアの32.6兆円と続いている。国別に見ると、トップはアメリカの34.8兆円でルクセンブルクの25.0兆円、ベルギーの23.7兆円と続いている。海外の国債等保有額、保有割合の推移海外の保有割合(左軸)海外の国債保有額(右軸)30405060708090100110120130140150160平成20年3月末平成21年3月末平成22年3月末平成23年3月末平成24年3月末平成25年3月末平成26年3月末平成27年3月末平成28年3月末平成29年3月末平成30年3月末平成31年3月末1234567891011121314(%)(兆円)59.263.367.955.455.755.252.549.646.752.658.657.162.268.277.478.876.982.186.482.882.181.879.083.981.684.287.493.197.895.2100.8108.8110.7112.0114.0115.2116.6116.9119.1121.9119.9127.5129.0137.8142.77.38.08.56.86.96.76.46.05.66.06.66.57.07.58.48.58.38.79.08.68.48.48.08.58.18.38.69.19.49.19.610.410.310.110.410.610.810.811.011.210.911.611.812.412.7※国庫短期証券(T-Bill)を含む。出所:日本銀行海外保有債券の地域別推移(カストディアンベース)9.911.920.228.130.525.720.822.730.031.132.66.98.79.211.69.711.917.622.527.034.235.738.630.827.036.036.840.550.259.660.270.883.16.33.66.15.16.17.48.39.18.74.73.510.110.69.410.913.915.419.019.717.917.020.171.765.571.991.696.9100.9115.9133.6143.7157.8175.00102030405060708090100110120130140150160170180190平成20年平成21年平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年平成27年平成28年平成29年平成30年アジア北米欧州中東その他(兆円)(暦年)※保有額には国債以外も含む。また、最終的な投資家の地域別分布とは必ずしも一致しない。出所:日本銀行 ファイナンス 2019 Aug.5特集保有者層の多様化を通じた国債市場の安定国債の海外IR活動 財務省の取組み

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