ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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て掲げている。今後の高齢化を見据えれば、健康・予防対策を進めていくことは重要な課題の一つであろう。令和に引き継がれた課題最後に、今後の日本経済の課題を取り上げることとしたい。人口減少・少子高齢化の進行は世界にも例のない急速なもので、日本経済の成長にとって大きな壁として立ちはだかっている。既に人口は平成22年(2010年)の1.28億人をピークに減少局面に転じている一方、高齢者数は今後も増加していくと推計されている(図12)。生産年齢人口の減少が、労働供給の大きな制約要因となることは明らかで、人口減少・少子高齢化の下で、日本経済の安定的な成長と豊かな社会を実現するために、様々なハードルを乗り越えるための取組を行っていかなければならない(図13)。本稿の冒頭で、平成の間に技術革新により人々の消費活動が変化してきたことに触れたが、技術の進歩や時代の変化に伴って、人々の生活スタイルは大きく変わり、マクロ経済の観点からは、需要構造に大きな変化が生じる。今後、消費者に占める高齢者の割合が更に高まることは、人々が求める財やサービスの需要を大きく変えていくこととなる一方、IoTやAIをはじめ、急速に進むデジタル技術の進展により、それらを活用した生産技術の革新や、新たなサービスの展開な(図11)体力テストの合計点平成65~69歳70~74歳75~79歳(点)平成65~69歳70~74歳75~79歳(点)(年)(年)(注)体力テストの内容は、握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行の6項目(出所)文部科学省「体力・運動能力調査」(図12)人口動態の推移02,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00019901995200020052010201520202025203020352040総人口のピーク(年:万人)歳~~歳~歳(万人)(年)(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成年推計)」(出生中位・死亡中位仮定)(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(出生中位・死亡中位仮定) ファイナンス 2019 Aug.35平成を振り返る[後編]SPOT

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