ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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ロ.支店職員等ヒアリング結果財務総研及び日本公庫は、2019年5月に実施した第2期支援の中間評価調査出張に際し、現状の成果や課題を把握するため、MEB幹部とのミーティングやMEB支店職員へのヒアリング等を実施した。MEB幹部やMEB支店職員からは、融資審査フォーマットの改定及びその活用方法の講義といった第2期支援について、企業の実態を的確に把握すると同時にMEB内部での情報伝達が改善し、融資審査がスムーズに進むようになった等の肯定的な意見を得た。また、改定した融資審査フォーマットを使用した融資審査により実際に融資を受けた中小企業からは、以前の融資の時に比べ融資審査の面談がスムーズに進んだ等の意見があり、MEBの融資審査業務の改善を確認することができた。(2)第2期支援の今後の課題第1期・第2期支援のこれまでのセミナーでは、MEBに対して、セミナー参加者が所属する支店でセミナー内容を共有するといった、支店内での二次研修の実施を依頼してきており、これによりセミナーに参加していない者を含む行内全体への支援内容の共有を図ってきた。他方、2018年12月の第2回セミナー開催時に実施したMEBの本プロジェクトの専門チームとの意見交換では、支店内での二次研修に関する課題認識が共有され、セミナー内容をMEB内で教えられる人材(トレーナー)を育成するためのトレーナーズ・トレーニングの要望が出された。また、中間評価調査出張におけるMEB支店職員へのヒアリングでは、セミナーを1度受講しただけで重要なポイントを全て理解し、教えることは難しいため、解説付きのマニュアルのようなツールがほしいといった声も聞かれた。第2期支援では、MEBに本プロジェクトの専門チームを設置し、現地への訪問の度に同チームとの意見交換の機会を設ける等、MEB側にも能動的にプロジェクトに関わる意識が徐々に芽生えつつある。過去にベトナム、マレーシア、ラオス等のASEAN諸国に対しても中小企業向け融資審査の経験・ノウハウを伝えてきた日本公庫としては、技術協力を受ける側が受け身になり日本の経験・ノウハウをそのまま当てはめるのではなく、相手側と問題意識を共有し、能動的に関わってもらうことにより、相手国の実情に合った形とすることが、より効果的な支援とするためには重要であると考えている。MEBとして具体的にどういった人材を育成していきたいと考えているか、MEBではどういった能力・ツールが不足しているか等について更なる協議を重ねた上で、それらに対して日本公庫の経験・ノウハウをどのように伝えることが効果的であるかを検討し、第2期支援の今後のセミナーで課題の解決を図っていきたい。(図表7)アンケート結果[3](フォーマットの改定による業務改善状況、具体的改善内容)99.2%91.9%0.8%8.1%38.5%9.4%17.9%34.2%第2回セミナー第1回セミナー改善した改善していない定性分析定量分析資金使途分析融資審査スピード(ミーティングの様子) ファイナンス 2019 Aug.25財務総合政策研究所によるミャンマーの中小企業金融に関する支援の現状SPOT

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