ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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第2期支援を開始した。第2期支援では、融資審査フォーマットの改定を支援するとともに、関係者間で覚書を締結し、本プロジェクトに対するMEBの組織的な体制構築等を図ることとした。なお、第2期支援では、2018年6月から2020年5月の2年間で計4回のセミナーを開催することとしている。改定した融資審査フォーマットは、第2期支援開始前の2018年4月からMEBの中小企業向け融資制度で運用されている。第2期支援のこれまでの2回のセミナーでは、主にフォーマットの活用方法について講義を行い、MEBでのフォーマット活用の定着化を図ってきた。セミナーの主な講義内容としては、セミナー参加者が具体的な活用方法をイメージできるよう、MEBでの実際の融資案件を題材としたケーススタディ等を実施した。(図表4)第2期第1回・第2回セミナー概要第2期・第1回セミナー日程2018年6月11日~19日場所ネピドー、マンダレー及びヤンゴン受講者合計131名講義内容・日本公庫の融資審査の概要・企業実態の把握手法(定量分析)・ケーススタディ(マンゴーピューレ加工業者)第2期・第2回セミナー日程2018年12月3日~7日場所ヤンゴン及びネピドー受講者合計124名講義内容・無担保融資・一部担保融資の推進・日本公庫の融資審査手法の概要・ケーススタディ(精米業者)3ミャンマー中小企業金融第2期支援の中間評価と今後の課題(1)第2期支援の中間評価イ.アンケート結果第1期支援に引き続き、第2期支援のセミナーの満足度は非常に高い(第1回では93.1%、第2回では97.5%の回答者が「大変満足」または「大体満足」と回答)。次に、改定した融資審査フォーマットの定着状況については、第2回セミナー時で「全案件で使用」または「使用する場合が多い」が90%以上となっているほか、特に「全案件で使用」の割合が第1回セミナー時(18.5%)から31.3%へ大きく増加しており、着実に活用の意識が定着してきていることがうかがえる。また、融資審査フォーマットの改定による業務改善効果については、第2回セミナー時で99.2%とほとんどの受講者が定性分析や融資審査の迅速さといった点で効果を実感している。(図表3)第1期支援で把握した課題と第2期支援内容第1期支援で把握した課題⇒第2期支援の内容[1]融資審査業務MEBで使用されている融資審査フォーマットは、定性的・定量的・資金使途分析結果を記載する欄がないため、的確な企業情報の収集・分析が行われず、分析結果が支店内・本店に十分に伝達されていない。[1]融資審査フォーマットの改定支援日本公庫で使用されている融資審査フォーマットを基に、定性的(企業の取扱商品の特徴等)・定量的(決算比較等)・資金使途(投資効果等)分析結果を記載できるよう融資審査フォーマットを改定し、融資審査業務の高度化・標準化を図る。[2]プロジェクトの運営MEB側のプロジェクトへの関わり(セミナー開催に向けた準備等)が属人的なものとなっており、組織的な体制が十分に構築されていない。[2]覚書の締結プロジェクトの意義やMEB側の協力体制等を内容とした第2期支援に係る覚書を、財務総研・日本公庫・MEB間で締結。(記載内容例)プロジェクトの目標、期間、MEB側の協力体制(プロジェクトの専門チームの設置、セミナー動画の撮影・活用等)(セミナーの様子)(図表6) アンケート結果[2](改定した融資審査フォーマットの 定着状況)31.3%18.5%59.1%66.4%9.6%15.1%第2回セミナー第1回セミナー全案件で使用使用する場合が多いその他(※)(※) 半数以下で使用、使用する場合が少ない、全く使用していない、改定した融資審査フォーマットについて知らない(図表5)アンケート結果[1](セミナー全体の満足度)59.0%48.1%38.5%45.0%2.5%6.9%第2回セミナー第1回セミナー大変満足大体満足普通やや不満足不満足24 ファイナンス 2019 Aug.SPOT

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